がんゲノム医療の現状と今後 - 泌尿器科癌におけるトピックス
抄録:個々の遺伝子プロファイルに合った個別化治療を行うプレシジョンメディシン(精密医療)は, 特にがん領域において目覚ましい発展を遂げており, 2019年6月からはFoundationOne CDxがんゲノムプロファイル(F-One), OncoGuide NCCオンコパネルシステム(NCCOP)の2種類のがんゲノム検査が保険診療にて実施できるようになった. さらに, これまで1遺伝子を対象に行われてきたコンパニオン診断薬(検査)も, 一度に多数の遺伝子を調べられるマルチコンパニオン診断薬が登場するなど, 次世代シークエンサー(next generation sequencer;NGS)を用い...
Saved in:
Published in | 西日本泌尿器科 Vol. 84; no. 6; pp. 625 - 632 |
---|---|
Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本泌尿器科学会
01.08.2022
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0029-0726 |
Cover
Summary: | 抄録:個々の遺伝子プロファイルに合った個別化治療を行うプレシジョンメディシン(精密医療)は, 特にがん領域において目覚ましい発展を遂げており, 2019年6月からはFoundationOne CDxがんゲノムプロファイル(F-One), OncoGuide NCCオンコパネルシステム(NCCOP)の2種類のがんゲノム検査が保険診療にて実施できるようになった. さらに, これまで1遺伝子を対象に行われてきたコンパニオン診断薬(検査)も, 一度に多数の遺伝子を調べられるマルチコンパニオン診断薬が登場するなど, 次世代シークエンサー(next generation sequencer;NGS)を用いたゲノム検査が主流となりつつある. 泌尿器科領域では, BRCA1/2遺伝子に代表される相同組換え修復(HRR)遺伝子が欠損している腫瘍に対する分子標的治療薬であるPARP阻害剤が注目されており, BRCA1/2遺伝子異常のある去勢抵抗性前立腺癌の治療薬として承認された. ただ, BRCA1/2変異に対するコンパニオン診断薬として遺伝子プロファイリング検査であるF-Oneが指定され, 化学療法投薬後でなければ保険診療で利用できないなど, 保険請求上での混乱や実用性における問題点が指摘され, 我が国の保険診療において解決すべき課題が山積している. 本稿においては, 泌尿器系腫瘍におけるがんゲノム医療の現状を紹介し, 解決すべき課題や今後の方向性について紹介する. |
---|---|
ISSN: | 0029-0726 |