C型肝硬変合併GAVE(gastric antral vascular ectasia)からの出血に経口避妊薬が有効であった1例

「はじめに」胃前庭部にびまん性血管拡張像を呈する胃前庭部毛細血管拡張症(gastric antral vascular ectasia;以下, GAVE)は比較的稀な病態であるが, 消化管出血の原因疾患として近年注目されている. 基礎疾患として肝硬変や無酸症が多く, ついで慢性腎不全, 強皮症などの自己免疫性疾患, 大動脈弁狭窄症を伴うことが多い1). 今回, われわれは頻回の輸血を要する進行性貧血があり, 上部・下部内視鏡検査では明らかな出血を指摘し得なかったGAVEを伴うC型肝硬変患者に対し, 経口避妊薬の投与で貧血の進行が停止した症例を経験したので報告する. 「症例」患者:71歳, 男性...

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Published inProgress of Digestive Endoscopy Vol. 63; no. 2; pp. 104 - 106
Main Authors 吉田生馬, 仲宗根啓樹, 佐久川廣, 安田宏, 山田雅哉, 遠藤豊, 井上和明, 与芝真
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本消化器内視鏡学会関東支部会 25.11.2003
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ISSN1348-9844

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Summary:「はじめに」胃前庭部にびまん性血管拡張像を呈する胃前庭部毛細血管拡張症(gastric antral vascular ectasia;以下, GAVE)は比較的稀な病態であるが, 消化管出血の原因疾患として近年注目されている. 基礎疾患として肝硬変や無酸症が多く, ついで慢性腎不全, 強皮症などの自己免疫性疾患, 大動脈弁狭窄症を伴うことが多い1). 今回, われわれは頻回の輸血を要する進行性貧血があり, 上部・下部内視鏡検査では明らかな出血を指摘し得なかったGAVEを伴うC型肝硬変患者に対し, 経口避妊薬の投与で貧血の進行が停止した症例を経験したので報告する. 「症例」患者:71歳, 男性. 主訴:ふらつき. 既往歴:特になし. 輸血歴無し. 家族歴:特になし. 飲酒歴:機会飲酒. 現病歴:1993年6月23日琉球大学第1内科初診. 慢性C型肝炎指摘され, 1994年10月~1995年5月, 1996年5月~1996年10月, および1997年12月~1998年5月まで計3回にわたりインターフェロン療法施行. 1999年10月頃よりHb 6g/dl台に低下する貧血が認められため上部内視鏡検査を施行しGAVEの所見を認めた. その後, H2ブロッカー投与で一時貧血は改善するも, 2001年11月再び貧血の増悪を認め, 同年12月7日, タール便と肝性脳症が出現し, 緊急入院.
ISSN:1348-9844