歩行開始困難を認めたOrthostatic tremorの75歳男性例

要旨 : 症例は成人期にてんかんと診断され, 歩行困難を主訴に受診した75歳男性. 49歳から上肢の姿勢時振戦を認め, 50歳時に全身性強直間代痙攣を認めた. 59歳時より歩行開始時の膝のふるえ, 不安定感が出現し, 緩徐に進行した. 神経学的所見では上肢の姿勢時振戦, 姿勢反射障害, 歩行開始困難, 広基性歩行を認めた. 表面筋電図で立位時にのみ下肢に振戦とミオクローヌスが見られたので, Orthostatic tremor(OT)と考えた. C-reflex, giant SEP, Jerk-locked back averaging法を行い不随意筋放電に先行する陽性棘波を認めたことから皮...

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Published in運動障害 Vol. 23; no. 1; pp. 15 - 19
Main Authors 山口哲人, 石井一弘, 河野豊, 玉岡晃
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本運動障害研究会 15.07.2013
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ISSN0917-5601

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Summary:要旨 : 症例は成人期にてんかんと診断され, 歩行困難を主訴に受診した75歳男性. 49歳から上肢の姿勢時振戦を認め, 50歳時に全身性強直間代痙攣を認めた. 59歳時より歩行開始時の膝のふるえ, 不安定感が出現し, 緩徐に進行した. 神経学的所見では上肢の姿勢時振戦, 姿勢反射障害, 歩行開始困難, 広基性歩行を認めた. 表面筋電図で立位時にのみ下肢に振戦とミオクローヌスが見られたので, Orthostatic tremor(OT)と考えた. C-reflex, giant SEP, Jerk-locked back averaging法を行い不随意筋放電に先行する陽性棘波を認めたことから皮質反射性ミオクローヌスと診断した. ミオクローヌスの治療としてクロナゼパムを投与したところ, 歩行開始困難が改善したことより, 立位時の振戦およびミオクローヌスが歩行開始困難の原因と考えられた. 「緒言」 Orthostatic tremor(OT)とは, 起立時に下肢, 体幹, 頚部に速い振戦様不随意運動, ふらつき, 不安定感を生じる症候であり, 臥位や坐位では消失するという特徴を持つ.
ISSN:0917-5601