終末回腸狭窄に対し細径内視鏡が診断に貢献した一例

「序文」小腸潰瘍は解剖学的な理由から内視鏡のアプローチが難しく, 質的診断がなされずに外科切除が施行されることもしばしば経験される. 原因に沿った適切な治療を行うためにも術前の診断は重要である. 今回, 大腸内視鏡で通過困難な終末回腸狭窄に対し, スライディングチューブを併用した経鼻内視鏡用の細径内視鏡を用いることで狭窄部の観察と生検が可能であった症例を経験したため報告する. 「症例」患者 : 56歳男性 主訴 : 腹痛, 下痢 既往歴・内服薬 : なし 現病歴 : 5か月前に約2か月続く心窩部痛を自覚したが自然軽快した. 1か月前より腹部全体の腹痛と1日3行の水様下痢が出現し, 症状の増悪を...

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Published inProgress of Digestive Endoscopy(2001年から) Vol. 105; no. 1; pp. 82 - 84
Main Authors 藤井一生, 野間絵梨子, 清水口涼子, 高雄暁成, 柴田理美, 堀口慎一郎, 飯塚敏郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本消化器内視鏡学会関東支部会 13.12.2024
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ISSN1348-9844

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Summary:「序文」小腸潰瘍は解剖学的な理由から内視鏡のアプローチが難しく, 質的診断がなされずに外科切除が施行されることもしばしば経験される. 原因に沿った適切な治療を行うためにも術前の診断は重要である. 今回, 大腸内視鏡で通過困難な終末回腸狭窄に対し, スライディングチューブを併用した経鼻内視鏡用の細径内視鏡を用いることで狭窄部の観察と生検が可能であった症例を経験したため報告する. 「症例」患者 : 56歳男性 主訴 : 腹痛, 下痢 既往歴・内服薬 : なし 現病歴 : 5か月前に約2か月続く心窩部痛を自覚したが自然軽快した. 1か月前より腹部全体の腹痛と1日3行の水様下痢が出現し, 症状の増悪を契機に当科を受診した. また6か月で約10kgの体重減少が認められた. その他に発熱や血便などの随伴症状はなかった. 来院時現症 : BMI 18.8, 体温 36.3℃, 血圧 113/78mmHg, 脈拍 80回/分, SpO2 98% (room air).
ISSN:1348-9844