本邦における虚血性心疾患に対する侵襲的治療の実施状況

《Abstract》「はじめに」 : 加齢とともに動脈硬化は進行し, 冠動脈疾患は増加している. 経カテーテル治療や冠動脈バイパス術などの侵襲的治療は, 近年急速に発展したが, 大規模試験での長期成績結果により見直しがされている. 今回, 保険診療における侵襲的虚血性心疾患治療の実情を調査したので報告する. 「調査方法」 : 厚生労働省が公表しているNDBオープンデータの医科診療報酬点数表項目K (手術) から, 虚血性心疾患に対する手技の算定回数を, 2014年度から2021年度までの8年間にわたって, 男女別, 年齢階級別に年次推移を調べ検討した. 「結果」 : 虚血性心疾患に対する侵襲的...

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Published in心臓 Vol. 57; no. 3; pp. 272 - 283
Main Author 小山照幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団・日本循環器学会 15.03.2025
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ISSN0586-4488

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Summary:《Abstract》「はじめに」 : 加齢とともに動脈硬化は進行し, 冠動脈疾患は増加している. 経カテーテル治療や冠動脈バイパス術などの侵襲的治療は, 近年急速に発展したが, 大規模試験での長期成績結果により見直しがされている. 今回, 保険診療における侵襲的虚血性心疾患治療の実情を調査したので報告する. 「調査方法」 : 厚生労働省が公表しているNDBオープンデータの医科診療報酬点数表項目K (手術) から, 虚血性心疾患に対する手技の算定回数を, 2014年度から2021年度までの8年間にわたって, 男女別, 年齢階級別に年次推移を調べ検討した. 「結果」 : 虚血性心疾患に対する侵襲的治療の全算定回数は, 2014年度250,504回で, 年々増加し, 2017年度は273,144回とピークに達した. その後減少し, 2020年度241,406回となったが, 2021年度は244,803回とやや増加していた. 最も多かった手技は, 経皮的冠動脈ステント留置術で, 2021年度には169,283回で全体の69%を占めていた. 男女比は, 男性は女性の約3倍であった. 男性は40歳代から増加し, 70歳代にピークがあったが, 女性は60歳代から増加し, 70歳代にピークがあった. 「まとめ」 : 虚血性心疾患に対する侵襲的治療は減少傾向であった. その原因としては, 大規模試験の長期成績の結果, 診療報酬改定, 新型コロナウイルス感染症パンデミックが考えられた.
ISSN:0586-4488