異なる経過をたどった帝王切開瘢痕部妊娠の2症例

既往帝王切開創に着床した妊娠, いわゆる帝王切開瘢痕部妊娠は比較的稀な疾患であり, その取り扱いにおいては妊娠継続の安全性や妊孕性の温存等が問題となる. 今回, 我々はそれぞれ異なる経過をたどった帝王切開瘢痕部妊娠の2例をここに報告する. 症例1:31歳, 6回経妊2回経産婦. 第2子の分娩時, 前置胎盤の適応で帝王切開の既往がある. 今回, 無月経を主訴に前医受診, 子宮外妊娠の疑いで当科紹介となった. 初診時の2cm径の胎嚢を既往帝王切開創部に認め, さらなる精査のため骨盤MRIを施行, 前回帝王切開部瘢痕部の妊娠に伴う不全子宮破裂と診断, 開腹手術となった. 子宮筋層より胎嚢を除去し再縫...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 70; no. 6; p. 578
Main Authors 高橋肇, 三宅秀彦, 國重浩二, 山田浩子, 横田明重, 佐々木茂, 越野立夫, 中井章人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 15.12.2003
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ISSN1345-4676

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Summary:既往帝王切開創に着床した妊娠, いわゆる帝王切開瘢痕部妊娠は比較的稀な疾患であり, その取り扱いにおいては妊娠継続の安全性や妊孕性の温存等が問題となる. 今回, 我々はそれぞれ異なる経過をたどった帝王切開瘢痕部妊娠の2例をここに報告する. 症例1:31歳, 6回経妊2回経産婦. 第2子の分娩時, 前置胎盤の適応で帝王切開の既往がある. 今回, 無月経を主訴に前医受診, 子宮外妊娠の疑いで当科紹介となった. 初診時の2cm径の胎嚢を既往帝王切開創部に認め, さらなる精査のため骨盤MRIを施行, 前回帝王切開部瘢痕部の妊娠に伴う不全子宮破裂と診断, 開腹手術となった. 子宮筋層より胎嚢を除去し再縫合とし手術を終え, 妊孕性を温存することができた. 症例2:35歳, 4回経妊, 3回経産婦. 第1子がGBS感染症のため新生児死亡. 第2子は胎児ジストレスのため帝王切開, 第3子も前回帝王切開の適応で帝王切開となっている. 性器出血を主訴に当科初診, この時子宮内腔に胎嚢は確認されず. 2週間後の来院時子宮頸部近傍に着床したと思われる胎嚢および頭殿長6mmの胎芽を認めた. さらに2週間経過を見たところ, 胎児は頭殿長2. 2cmに発育したが胎嚢が子宮筋層内に嵌入している像を認めたため, その翌日MRIを施行, 帝王切開瘢痕部妊娠と診断した. インフォームドコンセントを得た上で腹式単純子宮全摘を選択した.
ISSN:1345-4676