ヒスチジン銅が奏効したMenkes病と考えられた新生児例
【はじめに】Menkes病はX連鎖性伴性劣性遺伝形式をとる遺伝性銅代謝異常症であり, 連珠状毛髪, 運動発達障害などの銅欠乏症状を特徴とする生命予後不良の疾患である. 治療は銅の非経口的投与であり, 生後2ケ月以内の治療開始により, 神経障害を予防または軽減できると言われている. 今回, 我々は低体温, 無呼吸, 哺乳不良のため日令10より入院し, 早期にヒスチジン銅投与を開始することができた新生児例を経験したので報告をする. 【症例】日令10男児. 家族歴なし. 日令5から体温は36℃前後となり, 低体温傾向を認めた. この頃より吸綴が緩慢で, 哺乳に時間がかかった. 日令9より嘔吐が続き哺...
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Published in | BIOMEDICAL RESEARCH ON TRACE ELEMENTS Vol. 15; no. 1; p. 115 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本微量元素学会
31.03.2004
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ISSN | 0916-717X |
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Summary: | 【はじめに】Menkes病はX連鎖性伴性劣性遺伝形式をとる遺伝性銅代謝異常症であり, 連珠状毛髪, 運動発達障害などの銅欠乏症状を特徴とする生命予後不良の疾患である. 治療は銅の非経口的投与であり, 生後2ケ月以内の治療開始により, 神経障害を予防または軽減できると言われている. 今回, 我々は低体温, 無呼吸, 哺乳不良のため日令10より入院し, 早期にヒスチジン銅投与を開始することができた新生児例を経験したので報告をする. 【症例】日令10男児. 家族歴なし. 日令5から体温は36℃前後となり, 低体温傾向を認めた. この頃より吸綴が緩慢で, 哺乳に時間がかかった. 日令9より嘔吐が続き哺乳が困難となったため日令10に来院. 入院時体温は35.4℃, 腹満が著明, 無呼吸発作, 黄疸を認めた. 吸綴反射わずかにあるも, 哺乳できず. 髪はやや茶色がかっていたが, 縮れてはいなかった. (早期診断チェック項目VI/VIII)【経過】感染兆候を認めず, 入院後保育器を使用し, 体温を安定化させた. 体温を37℃前後に維持できるようになった後も哺乳に30分前後要した. |
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ISSN: | 0916-717X |