CA19-9低値(≦1.0U/m/)例における継続測定の意義

「要旨」 Carbohydrate Antigen 19-9(CA19-9)はLewis式血液型がLe(a-, b-)の症例では低値をとることが知られている. しかしLewis式血液型検査をルーチンに行うことは本邦では保険適応されていない. これまでにCA19-9測定値からLewis式血液型を推定しようとするいくつかの研究が行われてきたが, 研究者によってCA19-9測定法が異なったり, 推定方法が複雑であるため一般化に制限があった. そこで当院におけるCA19-9低値例106例とLewis式血液型の関係を検討した. また, 消化器系癌と診断され死亡するまでの経過中にCA19-9が複数回測定さ...

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Published in医学検査 Vol. 63; no. 3; pp. 300 - 304
Main Authors 二村英憲, 加藤秀樹, 遠藤美紀子, 永山円, 恒川浩二郎, 大屋輝明, 山岸宏江, 湯浅典博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床衛生検査技師会 25.05.2014
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ISSN0915-8669

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Summary:「要旨」 Carbohydrate Antigen 19-9(CA19-9)はLewis式血液型がLe(a-, b-)の症例では低値をとることが知られている. しかしLewis式血液型検査をルーチンに行うことは本邦では保険適応されていない. これまでにCA19-9測定値からLewis式血液型を推定しようとするいくつかの研究が行われてきたが, 研究者によってCA19-9測定法が異なったり, 推定方法が複雑であるため一般化に制限があった. そこで当院におけるCA19-9低値例106例とLewis式血液型の関係を検討した. また, 消化器系癌と診断され死亡するまでの経過中にCA19-9が複数回測定された593例のCA19-9の変化を解析した. CA19-9≦1.0U/m/の症例116例中115例(99%)はLewis式血液型がLe(a-, b-)であった. 消化器系癌と診断され死亡した患者593例中, 経過中にCA19-9最低値≦1.0U/mlを示した症例は55例で, そのうち53例(96%)ではCA19-9最高値は基準値(37U/ml以下)を上回らなかった. CA19-9≦1.0/mlを示す症例はLe(a-, b-)であることが多く, CA19-9を継続して測定する意義は乏しい.
ISSN:0915-8669