小唾液腺をターゲットとしたumamiによるドライマウス治療

「1. はじめに」超高齢化に伴う疾病罹患率や服用薬剤の増加によりドライマウス患者は世界的に増加傾向にある. ドライマウスは, 単なる口腔乾燥感にとどまらず, 口腔粘膜の灼熱感や味覚障害, 発音・咀嚼・嚥下障害など, 重篤な症状を引き起こすことがある. しかしながら, ドライマウスを的確に診断し治療できる医療機関は少なく, 医療ニーズに対する対応が喫緊の課題となっている. 本稿では, (1)口腔乾燥感は大唾液腺よりも小唾液腺分泌に依存すること, (2)うま味による味覚 - 唾液分泌反射を用いた小唾液腺分泌促進法, (3)味覚障害と唾液分泌量減少との密接な関係について述べることとする. 「2. 口...

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Published in日本唾液腺学会誌 Vol. 58; pp. 53 - 59
Main Author 笹野高嗣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本唾液腺学会 15.11.2017
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ISSN0916-1104

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Summary:「1. はじめに」超高齢化に伴う疾病罹患率や服用薬剤の増加によりドライマウス患者は世界的に増加傾向にある. ドライマウスは, 単なる口腔乾燥感にとどまらず, 口腔粘膜の灼熱感や味覚障害, 発音・咀嚼・嚥下障害など, 重篤な症状を引き起こすことがある. しかしながら, ドライマウスを的確に診断し治療できる医療機関は少なく, 医療ニーズに対する対応が喫緊の課題となっている. 本稿では, (1)口腔乾燥感は大唾液腺よりも小唾液腺分泌に依存すること, (2)うま味による味覚 - 唾液分泌反射を用いた小唾液腺分泌促進法, (3)味覚障害と唾液分泌量減少との密接な関係について述べることとする. 「2. 口腔乾燥感は大唾液腺よりも小唾液腺分泌に依存する」「2-1) 口腔乾燥感と唾液分泌量」ドライマウスは唾液分泌量の減少に起因することから, 唾液分泌量の測定は重要な検査である. 唾液分泌量の測定には, その簡便さゆえに総唾液分泌量 (単位時間内に口腔に分泌された唾液量の総和)が用いられることが多い.
ISSN:0916-1104