新生児聴覚スクリーニングによる難聴診断と問題点

新生児聴覚スクリーニングにて難聴児を早期発見し, 早期に補聴器装用や療育につなげる必要があることは, すでに知られている. 出生児は全例スクリーニングが行われるべきであり, それにより早期発見の効果も高くなる. しかし, この一連の流れにはいくつか問題点がある. 1)新生児聴覚スクリーニング検査が全例実施されていない (1)助産施設で強く勧めない. 産婦人科医会の調査により, 2013年には全国の助産施設1,800の約9割に検査機器が導入された. しかし, その中で全例検査を実施しているのは約4割に過ぎず, 残りは希望者のみに実施している. また, 難聴早期発見がなぜ必要なのか産科医に理解が不...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 121; no. 11; pp. 1429 - 1430
Main Author 守本倫子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本耳鼻咽喉科学会 20.11.2018
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ISSN0030-6622

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Summary:新生児聴覚スクリーニングにて難聴児を早期発見し, 早期に補聴器装用や療育につなげる必要があることは, すでに知られている. 出生児は全例スクリーニングが行われるべきであり, それにより早期発見の効果も高くなる. しかし, この一連の流れにはいくつか問題点がある. 1)新生児聴覚スクリーニング検査が全例実施されていない (1)助産施設で強く勧めない. 産婦人科医会の調査により, 2013年には全国の助産施設1,800の約9割に検査機器が導入された. しかし, その中で全例検査を実施しているのは約4割に過ぎず, 残りは希望者のみに実施している. また, 難聴早期発見がなぜ必要なのか産科医に理解が不十分であり, 検査についても必要性を十分に説明できていないことも検査希望につながっていない理由と考えている. しかし, 2014年の産婦人科ガイドラインでは新生児聴覚スクリーニングは推奨度C(健診を受けるか受けないかは個人の選択)から, 2017年に推奨度B(健診を受けるメリットが受けないメリットを上回る)に変更となり, 今後検査を積極的に勧めていくところが増加することを期待している.
ISSN:0030-6622