ウシ永久歯歯胚の成熟段階における歯質微量金属の研究

「緒言」 近年, 環境汚染は, その解決が人類にとって困難な課題になっている. それは現在, 人類の生産活動が地球の浄化作用を超え, 環境破壊が急激に進行しているためであり, しかも生産活動を停止することは不可能で, 現在直接的に関与しなくても将来に大きな影響を生じ得る可能性が高いためである. 現在まで環境汚染への対処方法は, 生態系への影響が具体化してから後戻りして検討されがちであった. この事が, 人類にとって特に重要な課題であるにもかかわらず解決していない原因と考えられる. 生態, 特に人類にとって最も重要なことは, 現在の状況を確実に把握することで, そのためには人がどの様な生活環境の...

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Published in神奈川歯学 Vol. 26; no. 2; pp. 117 - 128
Main Authors 時安喜彦, 檜垣旺夫, 斎藤滋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 神奈川歯科大学学会 30.09.1991
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ISSN0454-8302

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Summary:「緒言」 近年, 環境汚染は, その解決が人類にとって困難な課題になっている. それは現在, 人類の生産活動が地球の浄化作用を超え, 環境破壊が急激に進行しているためであり, しかも生産活動を停止することは不可能で, 現在直接的に関与しなくても将来に大きな影響を生じ得る可能性が高いためである. 現在まで環境汚染への対処方法は, 生態系への影響が具体化してから後戻りして検討されがちであった. この事が, 人類にとって特に重要な課題であるにもかかわらず解決していない原因と考えられる. 生態, 特に人類にとって最も重要なことは, 現在の状況を確実に把握することで, そのためには人がどの様な生活環境のもとで生活し, 現在に至ったかを分析し理解する必要がある. ところが, 現在までの生活環境を把握するには, 各状況下における試料の存在が必要条件である. そこで我々は, 人体の発生から関わりを持ち, 各個体の環境情報を密に蓄積している歯, ことに如何なる人からもその情報の提供を受けられる乳歯について注目し, 環境汚染の指標としてCd, Zn, PbおよびCuと歯の発育過程との関連について研究を進めてきた.
ISSN:0454-8302