慢性中耳炎に続発した幼児大腿部ガス壊疽の一例-非クロストリジウム性ガス壊疽
「はじめに」日常診療においてガス壊疽に遭遇することはまれである.今回私たちは慢性中耳炎に続発し,左大腿部に発症した非クロストリジウム性ガス壊疽(以下NCGG)の幼児例を経験したので文献的考察を加えて報告する.「症例」症例:2歳10ヵ月,女児 既往歴:特記事項なし 現病歴:平成7年1月より風冒様症状を繰り返していた.5月初旬頃より39度台の発熱があり,元気もなくなり,歩行,座位不能となった.5月6日近医受診し,上気道炎および慢性中耳炎の診断で抗生剤,解熱剤を投与されたが,5月18日より左大腿部痛と腫脹が出現し再診した.レ線上大腿部にガス像を認めたため,ガス壊疽疑いにて当院紹介入院となった.入院時...
Saved in:
Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 46; no. 1; pp. 198 - 201 |
---|---|
Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本整形・災害外科学会
25.03.1997
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0037-1033 |
Cover
Summary: | 「はじめに」日常診療においてガス壊疽に遭遇することはまれである.今回私たちは慢性中耳炎に続発し,左大腿部に発症した非クロストリジウム性ガス壊疽(以下NCGG)の幼児例を経験したので文献的考察を加えて報告する.「症例」症例:2歳10ヵ月,女児 既往歴:特記事項なし 現病歴:平成7年1月より風冒様症状を繰り返していた.5月初旬頃より39度台の発熱があり,元気もなくなり,歩行,座位不能となった.5月6日近医受診し,上気道炎および慢性中耳炎の診断で抗生剤,解熱剤を投与されたが,5月18日より左大腿部痛と腫脹が出現し再診した.レ線上大腿部にガス像を認めたため,ガス壊疽疑いにて当院紹介入院となった.入院時現症:身長80cm,体重10.7kg,体温40.0℃,血圧90/50mmHg,左大腿部腫脹,両側耳漏を認め(図1),るいそう著明で身体は不潔な状態であった.レ線所見:左大腿部に気泡状のガス像を多数みとめた(図2).入院時臨床検査成績:白血球は10900/mm3と増加し,左方移動を認め,CRP43.7mg/dlと著明に上昇していた.その他,貧血および低蛋白血症,コリンエステラーゼの低下と低栄養状態を認めた.CPKは正常であった(表1). |
---|---|
ISSN: | 0037-1033 |