ピロリ感染と大腸がん

「はじめに」Helicobacter pylori (H. pylori) 感染率は, 日本ではかなり低下してきているが, 世界全体に目を向けるとまだまだ多くの感染者がいる. H. pylori感染が, 慢性胃炎を起こし, さらに胃がんの原因にもなっていることはよく知られているが, さらに胃に慢性感染を起こしながら, 免疫系などに作用することで, 胃外でもいろいろな症状を起こしている可能性がある. その影響は多彩で, 神経系や心血管系に対しては負の影響を与えるのに対し, 喘息や炎症性腸疾患のリスクを下げることが疫学的に知られている. 一方, 胃以外の消化管に関し, 膵がん, 大腸がん, 肝臓が...

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Published in日本ヘリコバクター学会誌 Vol. 27; no. 1; pp. 28 - 30
Main Author 片山和宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ヘリコバクター学会 15.05.2025
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ISSN2187-8005
2187-8005

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Summary:「はじめに」Helicobacter pylori (H. pylori) 感染率は, 日本ではかなり低下してきているが, 世界全体に目を向けるとまだまだ多くの感染者がいる. H. pylori感染が, 慢性胃炎を起こし, さらに胃がんの原因にもなっていることはよく知られているが, さらに胃に慢性感染を起こしながら, 免疫系などに作用することで, 胃外でもいろいろな症状を起こしている可能性がある. その影響は多彩で, 神経系や心血管系に対しては負の影響を与えるのに対し, 喘息や炎症性腸疾患のリスクを下げることが疫学的に知られている. 一方, 胃以外の消化管に関し, 膵がん, 大腸がん, 肝臓がんのリスクとなっていることが疫学的に指摘されている. ただし, これらデータの多くは, 説明できる詳細な機序が明らかになっているわけではない. 本稿では, H. pyloriと大腸がんの関連に焦点を当てる.
ISSN:2187-8005
2187-8005