重症冠動脈疾患および大動脈弁狭窄症を有する低心機能の高齢患者に対してカテーテルによるハイブリッド治療を行った1例 : CHIP (complex higher-risk indicated patient) へのアプローチ
《Abstract》Complex higher-risk indicated patient(CHIP)とは血行再建の対象となる冠動脈病変を有するが, 複雑冠動脈病変, 合併心疾患または併存症のために治療のリスクが高い患者である. 84歳女性, 重症大動脈弁狭窄症および左室収縮能低下を伴う心不全で入院した. 心不全の改善後に大動脈弁への治療を予定していたが, 心房細動を契機に血行動態が悪化した. 外科手術の高リスク例と判断し, 準緊急で経カテーテル的大動脈弁留置術(transcatheter aortic valve implantation; TAVI)を行った. TAVIの際に冠動脈造影...
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Published in | 心臓 Vol. 53; no. 5; pp. 476 - 482 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本心臓財団・日本循環器学会
15.05.2021
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ISSN | 0586-4488 |
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Summary: | 《Abstract》Complex higher-risk indicated patient(CHIP)とは血行再建の対象となる冠動脈病変を有するが, 複雑冠動脈病変, 合併心疾患または併存症のために治療のリスクが高い患者である. 84歳女性, 重症大動脈弁狭窄症および左室収縮能低下を伴う心不全で入院した. 心不全の改善後に大動脈弁への治療を予定していたが, 心房細動を契機に血行動態が悪化した. 外科手術の高リスク例と判断し, 準緊急で経カテーテル的大動脈弁留置術(transcatheter aortic valve implantation; TAVI)を行った. TAVIの際に冠動脈造影を行ったところ, 両冠動脈入口部に高度狭窄病変を認めたため, PCIを先行して行った. 補助循環装置をスタンバイし, 冠血流遮断時間を最小限にした. 両病変に薬剤溶出性ステントを留置し, 良好な結果を得た. 引き続き大動脈弁への治療を行った. 頻拍ペーシングは使用せず, イノウエ・バルーンで弁拡張を行い, 自己拡張型生体弁を留置した. 治療中に血行動態が不安定となることはなかった. 術後の循環動態も安定しており, 入院21日目にリハビリテーションの継続を目的に転院した. 今後さらにCHIPが増加することが予想される. PCIの技術に加え, CHIPの三要素に対するハートチームとしての包括的なアプローチが重要である. |
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ISSN: | 0586-4488 |