スワンガンツカテーテルに起因する気管内大量出血に対してV-A ECMOを施行し救命した一例

「要旨」患者は77歳女性. 大動脈弁狭窄症, 虚血性心疾患のため大動脈弁置換術+冠動脈バイパス移植術2枝を施行し人工心肺から離脱した. 止血操作中, 麻酔科医が深く入り過ぎたスワンガンツカテーテルを引き抜いた直後に, 循環虚脱を伴う挿管チューブから大量の出血を認めた. その後, 循環維持, 肺血流制限を目的として右腋窩動脈送血, 右房脱血と右肺動脈にベントチューブを追加した静脈脱血・動脈送血体外式膜型人工肺 (veno-arterial extracorporeal membrane oxygenation : V-A ECMO) を確立し, ICU入室となった. ECMOは補助流量2.0L/...

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Published in体外循環技術 Vol. 45; no. 4; pp. 389 - 392
Main Authors 田端愛, 後藤武, 霜野朱里, 三浦眞昌, 紺野幸哉, 小笠原順子, 皆川正仁, 福田幾夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本体外循環技術医学会 01.12.2018
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ISSN0912-2664

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Summary:「要旨」患者は77歳女性. 大動脈弁狭窄症, 虚血性心疾患のため大動脈弁置換術+冠動脈バイパス移植術2枝を施行し人工心肺から離脱した. 止血操作中, 麻酔科医が深く入り過ぎたスワンガンツカテーテルを引き抜いた直後に, 循環虚脱を伴う挿管チューブから大量の出血を認めた. その後, 循環維持, 肺血流制限を目的として右腋窩動脈送血, 右房脱血と右肺動脈にベントチューブを追加した静脈脱血・動脈送血体外式膜型人工肺 (veno-arterial extracorporeal membrane oxygenation : V-A ECMO) を確立し, ICU入室となった. ECMOは補助流量2.0L/min/m2程度で管理し, 止血目的で抗凝固療法を併用せずに管理した. 時間経過とともに出血がある程度制御できたため, 第2病日から抗凝固療法を併用した. 第4病日にV-A ECMO補助下でコイル塞栓術を施行し止血を得て, 第5病日に循環動態が安定し, V-A ECMOを離脱した. 本症例では, 虚脱状態であった心臓を脱転したことにより, スワンガンツカテーテルが肺動脈, 肺実質へ穿破したものと考えられる. 術中の気管支からの大量出血, 並びに止血困難症例に対して, 放射線科による右肺動脈のコイル塞栓術までのbridgeとして肺血流制限目的にV-A ECMOを施行し救命し得た.
ISSN:0912-2664