全国調査による日本人のヨウ素摂取量の現状と甲状腺機能 (簡潔表題 : ヨウ素摂取量)

「要旨」ヨウ素は甲状腺ホルモンを構成する微量元素であり, 体内で合成することができず, 食事から吸収され甲状腺に供給される. 日本は長らくヨウ素摂取過剰とみなされていたが, 日本全体の調査結果はなかった. 2014年から全国32道府県の49自治体, 162小学校, 31,970名を対象に行った調査によると, UIC中央値(四分位範囲)は269μg/L(164~511μg/L)で, WHOが定義する適量(100~299μg/L)に入る値であった. 地域別にはUIC中央値100μg/Lを下回るところはなく, 46地域中12地域において過剰(UIC≧300μg/L)で, 1,000μg/L以上が1地...

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Published in日本甲状腺学会雑誌 Vol. 13; no. 2; pp. 95 - 99
Main Author 伊藤善也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本甲状腺学会 07.12.2022
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ISSN2185-3126

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Summary:「要旨」ヨウ素は甲状腺ホルモンを構成する微量元素であり, 体内で合成することができず, 食事から吸収され甲状腺に供給される. 日本は長らくヨウ素摂取過剰とみなされていたが, 日本全体の調査結果はなかった. 2014年から全国32道府県の49自治体, 162小学校, 31,970名を対象に行った調査によると, UIC中央値(四分位範囲)は269μg/L(164~511μg/L)で, WHOが定義する適量(100~299μg/L)に入る値であった. 地域別にはUIC中央値100μg/Lを下回るところはなく, 46地域中12地域において過剰(UIC≧300μg/L)で, 1,000μg/L以上が1地域であった. 食生活の変化により, 近年はヨウ素摂取量が減少していることが指摘されている. また, 今後は日本人のヨウ素栄養状態と関連する甲状腺機能やその障害について, 定期的, かつ包括的な評価を行うことが必要である.
ISSN:2185-3126