大腸がんにおけるEMAST (Elevated Microsatellite Alterations at Selected Tetranucleotide repeats)

「要旨」 わが国において大腸がんは20年間で倍増し, その対策は重要な課題である. 大腸がんの発生進展機序として, ミスマッチ修復(mismatch repair: MMR)遺伝子異常に起因するマイクロサテライト不安定性(microsatellite instability: MSI)が, 遺伝性大腸がんのみならず, 非遺伝性大腸がんにも認められることが明らかとなった. 現在, わが国のMSI検査は主に1塩基から2塩基反復マーカーを使用し, 抗PD-1抗体のコンパニオン診断として保険収載されている. しかしながら, ゲノム上に存在する複製エラーは1塩基から2塩基反復配列のみならず1塩基から数塩...

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Published in松江市立病院医学雑誌 Vol. 24; no. 1; pp. 1 - 5
Main Authors 竹下美保, 田村和朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 松江市立病院 01.12.2020
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ISSN1343-0866

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Summary:「要旨」 わが国において大腸がんは20年間で倍増し, その対策は重要な課題である. 大腸がんの発生進展機序として, ミスマッチ修復(mismatch repair: MMR)遺伝子異常に起因するマイクロサテライト不安定性(microsatellite instability: MSI)が, 遺伝性大腸がんのみならず, 非遺伝性大腸がんにも認められることが明らかとなった. 現在, わが国のMSI検査は主に1塩基から2塩基反復マーカーを使用し, 抗PD-1抗体のコンパニオン診断として保険収載されている. しかしながら, ゲノム上に存在する複製エラーは1塩基から2塩基反復配列のみならず1塩基から数塩基で生じることがある. そのため4塩基反復配列の複製エラーを検索するElevated Microsatellite Alterations at Selected Tetranucleotide repeats (EMAST)が新しいバイオマーカーとして注目されている. 本稿では, 大腸がんにおけるMMR遺伝子とMSIについてEMASTを中心に解説する.
ISSN:1343-0866