重症心不全の小児に対し遠心ポンプを用いて左心補助を行った一症例 - 回路内の血栓形成を抑制するためには?

「要旨」生後5ヵ月の小児に対して, 遠心ポンプを用いて左心補助を行った. 左心補助を開始したときに使用した回路の内径は6mmで, 遠心ポンプの入口および出口付近の流路は軟質コネクターによって内径10mmに拡大されていた. 本症例において, この回路を使用しているときは遠心ポンプ入口側の流路拡大部分で血栓が好発し, 頻繁な回路交換を必要とした. そこで, 内径が10mmの回路を使用し, 送血および脱血カニューレと回路の間で硬質の異径コネクターを用いて流路拡大を行ったところ, 流路拡大部分に血栓が形成されることはなく, 循環補助を継続することが可能であった. 今回使用した回路の軟質コネクターと硬質...

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Published in体外循環技術 Vol. 44; no. 2; pp. 117 - 122
Main Authors 黒澤秀郎, 柏公一, 高橋舞, 古賀早也香, 朝倉陽香, 平田康隆, 高岡哲弘, 益澤明広, 張京浩, 小野稔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本体外循環技術医学会 01.06.2017
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ISSN0912-2664

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Summary:「要旨」生後5ヵ月の小児に対して, 遠心ポンプを用いて左心補助を行った. 左心補助を開始したときに使用した回路の内径は6mmで, 遠心ポンプの入口および出口付近の流路は軟質コネクターによって内径10mmに拡大されていた. 本症例において, この回路を使用しているときは遠心ポンプ入口側の流路拡大部分で血栓が好発し, 頻繁な回路交換を必要とした. そこで, 内径が10mmの回路を使用し, 送血および脱血カニューレと回路の間で硬質の異径コネクターを用いて流路拡大を行ったところ, 流路拡大部分に血栓が形成されることはなく, 循環補助を継続することが可能であった. 今回使用した回路の軟質コネクターと硬質コネクターのそれぞれの内部を比較検討したところ, 広がり角に違いがあることがわかった. 更に, 数値流体力学(computational fluid dynamics:CFD)による解析を行ったところ, コネクターの広がり角や回路の屈曲が血栓形成に影響を及ぼす可能性が高く, 補助循環回路の流路の形状や配置にも配慮する必要があることが示唆された.
ISSN:0912-2664