極細径気管支鏡で経過を追えたアスペルギローマの一例

症例は45歳男性. 2001年9月胸痛とともに血痰を生じ, 当院受診. 胸部レントゲンおよび胸部CT上, 右上肺に空洞形成と, 空洞内にFungus ball様の円形陰影を認めた. 気管支鏡下に同部の鉗子生検を行い, アスペルギローマと診断. 手術拒否のため, イトリゾール内服開始した. 一年半, 内服続けたが, 2003年2月, 自己判断にて内服中断. 2003年5月6日, 再び発熱, 血痰にて再診. イトリゾール内服を再開したが, この治療では悪化はないものの, 完治困難と判断し, 同年11月21日, 極細気管支鏡による空洞内へのファンギゾン注入を試みた. 空洞には, 右B2biyで到達し...

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Published in気管支学 Vol. 26; no. 3; p. 276
Main Authors 荒古道子, 細隆信, 辰田仁美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本呼吸器内視鏡学会 10.05.2004
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ISSN0287-2137

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Summary:症例は45歳男性. 2001年9月胸痛とともに血痰を生じ, 当院受診. 胸部レントゲンおよび胸部CT上, 右上肺に空洞形成と, 空洞内にFungus ball様の円形陰影を認めた. 気管支鏡下に同部の鉗子生検を行い, アスペルギローマと診断. 手術拒否のため, イトリゾール内服開始した. 一年半, 内服続けたが, 2003年2月, 自己判断にて内服中断. 2003年5月6日, 再び発熱, 血痰にて再診. イトリゾール内服を再開したが, この治療では悪化はないものの, 完治困難と判断し, 同年11月21日, 極細気管支鏡による空洞内へのファンギゾン注入を試みた. 空洞には, 右B2biyで到達し, 空洞内の観察が可能であった. 空洞壁は赤みをおびた平滑な粘膜で, 白色調の菌球塊を認めた. ファンギゾンを漸次増量し最終的にファンギゾンー回20mgを一週間隔で投与した. その結果, 菌球塊は, 次第にその形を崩していき, 空洞はほぼ浄化されるに至った. 経時的に空洞内を極細径気管支鏡で観察できた興味ある一症例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
ISSN:0287-2137