予熱した電動歯ブラシによる歯肉細胞の増殖

ブラッシング刺激の条件によって歯肉細胞の応答に差が出ることが示されている. 本研究では, ブラッシング刺激の温度の違いによる歯肉細胞の増殖能の差を検討した. イヌ8頭を用いた. ナイロン毛の手用歯ブラシ, ナイロン毛の電動歯ブラシ, シリコン毛の電動歯ブラシ, および50℃に予熱したシリコン毛の電動歯ブラシによるブラッシング刺激を1日1回, 5週間行った. 実験期間終了後, イヌを屠殺し, 組織切片を作製した. 増殖能を検討するため, 抗Proliferating cell nuclear antigen(PCNA)抗体を用いた免疫染色を行った. 3種の電動歯ブラシ群は, 手用歯ブラシ群と比べ...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 54; no. 5; p. 586
Main Authors 草野弘揮, 東哲司, 友藤孝明, 江國大輔, 坂本友紀, 山本龍生, 渡邊達夫, 岸本隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔衛生学会 30.10.2004
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ISSN0023-2831

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Summary:ブラッシング刺激の条件によって歯肉細胞の応答に差が出ることが示されている. 本研究では, ブラッシング刺激の温度の違いによる歯肉細胞の増殖能の差を検討した. イヌ8頭を用いた. ナイロン毛の手用歯ブラシ, ナイロン毛の電動歯ブラシ, シリコン毛の電動歯ブラシ, および50℃に予熱したシリコン毛の電動歯ブラシによるブラッシング刺激を1日1回, 5週間行った. 実験期間終了後, イヌを屠殺し, 組織切片を作製した. 増殖能を検討するため, 抗Proliferating cell nuclear antigen(PCNA)抗体を用いた免疫染色を行った. 3種の電動歯ブラシ群は, 手用歯ブラシ群と比べPCNA陽性線維芽細胞数が有意に高かった. さらに, 予熱シリコン毛群ではPCNA陽性線維芽細胞数がシリコン毛群よりも有意に高かった. 以上より, ブラッシング刺激による歯肉細胞の増殖促進効果は, 熱を加えることによって強まることが示された.
ISSN:0023-2831