慢性血栓塞栓性肺高血圧症における直接作用型経口抗凝固薬 (DOAC) の使用状況
「はじめに」慢性血栓塞栓性肺高血圧症(chronic thromboembolic pulmonary hypertension;CTEPH)は, 急性肺塞栓症後の残存血栓が器質化し, 肺動脈の狭窄や閉塞を起こした結果, 肺血管抵抗が上昇して肺高血圧を呈する疾患とされている. CTEPHはわが国では指定難病となっており, 令和元年で4160症例, 人口100万対33例が臨床調査個人票の交付を受けている. 自然歴では診断後の5年生存率が60%と予後不良な疾患であったが, 肺動脈内膜摘除術(pulmonary endarterectomy;PEA)およびバルーン肺動脈形成術(balloon pul...
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| Published in | 心臓 Vol. 54; no. 7; pp. 853 - 856 |
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| Main Authors | , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本心臓財団・日本循環器学会
15.07.2022
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| ISSN | 0586-4488 |
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| Summary: | 「はじめに」慢性血栓塞栓性肺高血圧症(chronic thromboembolic pulmonary hypertension;CTEPH)は, 急性肺塞栓症後の残存血栓が器質化し, 肺動脈の狭窄や閉塞を起こした結果, 肺血管抵抗が上昇して肺高血圧を呈する疾患とされている. CTEPHはわが国では指定難病となっており, 令和元年で4160症例, 人口100万対33例が臨床調査個人票の交付を受けている. 自然歴では診断後の5年生存率が60%と予後不良な疾患であったが, 肺動脈内膜摘除術(pulmonary endarterectomy;PEA)およびバルーン肺動脈形成術(balloon pulmonary angioplasty;BPA)など血行再建術の進歩により血行動態および生命予後が大きく改善されている. CTEPH患者に対しては終生にわたる抗凝固療法が必要とされる. 一方, いまだに抗凝固療法の有効性を示す明瞭なエビデンスは得られていない. 本邦においては現時点でCTEPHに対して保険承認されている抗凝固薬は存在しない. |
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| ISSN: | 0586-4488 |