5年間の大動脈弁狭窄症の進行度を観察したWerner症候群の1例

Werner症候群は青年期発症の成人型早老症で, 常染色体劣性遺伝性疾患である. 急速に進行する動脈硬化症や悪性腫瘍が死因の主たるものといわれている. よって青年期にすでに高度の大動脈弁や僧帽弁の石灰化の存在が報告されているが, 弁膜症として年齢別の進行度について詳細に検討した報告はない. 今回Werner症候群の1例を33歳から5年間, 弁膜症の進行度につき検討したので報告する. 症例は38歳男性で, 22歳時に両側の白内障の手術を受け, この時すでに白髪であり, 全身の身体所見からWerner症候群と診断されていた. 33歳時心不全となりこの時大動脈弁狭窄症と診断されたが, 5年後再度心不...

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Published in心臓 Vol. 29; no. 2; pp. 150 - 154
Main Authors 高野諭, 加藤公則, 和栗暢夫, 磯田昌岐, 井田徹, 山浦正幸, 鈴木正孝, 庭野慎一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 丸善 15.02.1997
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ISSN0586-4488

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Summary:Werner症候群は青年期発症の成人型早老症で, 常染色体劣性遺伝性疾患である. 急速に進行する動脈硬化症や悪性腫瘍が死因の主たるものといわれている. よって青年期にすでに高度の大動脈弁や僧帽弁の石灰化の存在が報告されているが, 弁膜症として年齢別の進行度について詳細に検討した報告はない. 今回Werner症候群の1例を33歳から5年間, 弁膜症の進行度につき検討したので報告する. 症例は38歳男性で, 22歳時に両側の白内障の手術を受け, この時すでに白髪であり, 全身の身体所見からWerner症候群と診断されていた. 33歳時心不全となりこの時大動脈弁狭窄症と診断されたが, 5年後再度心不全のため入院治療した. この5年間で左室大動脈収縮期圧較差は28mmHgから56mmHgへと増大し, 大動脈弁口面積は0.95平方センチメートルから0.79平方センチメートルと狭小化していた. この変化は通常の石灰化性大動脈弁狭窄症の進行度と大きく異なるものではなく, この年代でのWerner症候群の石灰化性大動脈弁狭窄症が急速に悪化するものではないと考えられた.
ISSN:0586-4488