TYK2阻害剤 : 乾癬治療への革新的アプローチの展望
「要旨」乾癬治療の新たな選択肢として2022年9月に承認された経口低分子薬デュークラバシチニブ(製品名: ソーティクツ(R)錠6mg)は, チロシンキナーゼ2(TYK2)のシュードキナーゼドメインに結合することにより, 高い選択性でTYK2をアロステリックに阻害し, 乾癬の病態形成に関わるインターロイキン(IL)-23, IL-12, I型インターフェロンなどのサイトカインシグナル伝達を抑制する. デュークラバシチニブは, 中等症から重症の乾癬患者を対象とした国際共同第III相試験POETYK PSO-1において, 投与16週後のPsoriasis Area and Severity Inde...
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Published in | 新薬と臨牀 Vol. 74; no. 3; pp. 195 - 219 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
医薬情報研究所
10.03.2025
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ISSN | 0559-8672 |
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Summary: | 「要旨」乾癬治療の新たな選択肢として2022年9月に承認された経口低分子薬デュークラバシチニブ(製品名: ソーティクツ(R)錠6mg)は, チロシンキナーゼ2(TYK2)のシュードキナーゼドメインに結合することにより, 高い選択性でTYK2をアロステリックに阻害し, 乾癬の病態形成に関わるインターロイキン(IL)-23, IL-12, I型インターフェロンなどのサイトカインシグナル伝達を抑制する. デュークラバシチニブは, 中等症から重症の乾癬患者を対象とした国際共同第III相試験POETYK PSO-1において, 投与16週後のPsoriasis Area and Severity Index(PASI)75達成率が58.4%とプラセボを上回る有効性を示した. また, POETYK PSO-1試験および海外第III相試験POETYK PSO-2の長期継続試験では, 忍容性は良好であり, 有害事象による中止率は低く, 3年間を通じて一貫した安全性プロファイルと持続的な有効性が示された. ただし, デュークラバシチニブ投与時には重篤な感染症の発現に注意が必要であり, 定期的な問診や検査が欠かせない. 本稿では, 乾癬の免疫学的病態におけるTYK2の役割, デュークラバシチニブの特徴, 臨床成績, 適正使用情報について述べる. |
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ISSN: | 0559-8672 |