先進国の医療改革について─特に機能評価の面から

EC統合を目前にしたヨーロッパ諸国は, 各国の思惑もあり, 統合後を見据えての各種改革を模索ないし実施している. 医療改革もその一つで, 特に経済政策上の問題としてとらえられている. 国としての医療機能評価をもとに, どのような改革が進んでいるかを述べる. 「国における診療機能評価」医療における国の政策がどこにあるかで, その機能評価は変わるが, 一般論として, 近代国家では, 疾病の治療と予防, 健康増進を含めての良質医療の確保供給と社会福祉面を含めての医療現場での財政的負担が必須条件と見做されるが, a:財政的に健全な状態にあるか, b:医療資源が有効に利用されているか, C:国民が満足で...

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Published in医療 Vol. 47; no. 6; pp. 421 - 423
Main Author 長谷川壽彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 国立医療学会 01.06.1993
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ISSN0021-1699

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Summary:EC統合を目前にしたヨーロッパ諸国は, 各国の思惑もあり, 統合後を見据えての各種改革を模索ないし実施している. 医療改革もその一つで, 特に経済政策上の問題としてとらえられている. 国としての医療機能評価をもとに, どのような改革が進んでいるかを述べる. 「国における診療機能評価」医療における国の政策がどこにあるかで, その機能評価は変わるが, 一般論として, 近代国家では, 疾病の治療と予防, 健康増進を含めての良質医療の確保供給と社会福祉面を含めての医療現場での財政的負担が必須条件と見做されるが, a:財政的に健全な状態にあるか, b:医療資源が有効に利用されているか, C:国民が満足できる状態にあるかで評価される. この三者ともに問題のない国家は, 機能評価は優秀とできるが, 現実的にはヨーロッパのどの国も問題を抱えていて, とくに財政面での問題は大きい. 「医療費の高騰」近代国家における医療費高騰の理由は, a:老齢人口の増加とそれに伴う老人病, 成人病の増加, b:慢性疾患の増加, c:高度専門領域の強化に伴う医療マンパワーの増加, d:高額の薬剤, 医療機器の開発, e:治療可能域の拡大があり, これらは医学の進歩に伴う必然的結果でもあり, 良質の医療を提供する側からみれば当然のことと受けとめられる側面を有する.
ISSN:0021-1699