一側性メニエール病の両側移行例の検討:ゲンタマイシン鼓室内注入療法の適応検討の観点から

「はじめに」メニエール病(以下, MD)に対するゲンタマイシン鼓室内注入療法(以下, ゲンタマイシン療法)は現在広く行われているが, 適応条件としては一般の薬物療法に抵抗性であること, 一側性であること, 良聴耳でないことなどが挙げられる1)~5). ここで問題となるのは一側性MDとして加療中に両側性に移行した場合で, 一側内耳破壊後に反対側の難聴・前庭機能低下(対側発症)を生じた場合, 長期的には両側高度難聴・前庭機能廃絶をきたす可能性がある. これに対し, 対側発症の危険性をあらかじめ予測できればこうしたリスクを減少させられると考えられる. ゲンタマイシン療法施行時の注意点を再確認すること...

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Published inめまい平衡医学 Vol. 63; no. 4; pp. 361 - 365
Main Authors 松崎真樹, 室伏利久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本めまい平衡医学会 01.08.2004
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ISSN0385-5716

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Summary:「はじめに」メニエール病(以下, MD)に対するゲンタマイシン鼓室内注入療法(以下, ゲンタマイシン療法)は現在広く行われているが, 適応条件としては一般の薬物療法に抵抗性であること, 一側性であること, 良聴耳でないことなどが挙げられる1)~5). ここで問題となるのは一側性MDとして加療中に両側性に移行した場合で, 一側内耳破壊後に反対側の難聴・前庭機能低下(対側発症)を生じた場合, 長期的には両側高度難聴・前庭機能廃絶をきたす可能性がある. これに対し, 対側発症の危険性をあらかじめ予測できればこうしたリスクを減少させられると考えられる. ゲンタマイシン療法施行時の注意点を再確認することを目的に, 初診時一側性MDであった症例の経過中対側発症をきたした症例について, その特徴の有無を調べ, 文献報告と比較検討した. 「対象と方法」対象は東京大学附属病院耳鼻咽喉科を1994年以降に初診し, この時点で一側性MDと診断された後, 最低1年以上経過観察ができた71症例である.
ISSN:0385-5716