ガス産生重症歯性感染症の2例
「緒言」 近年, 抗生物質の発達により歯性感染症が重篤な経過をとることは少なくなってきている. しかし, 今なお, 急速かつ広範囲に炎症が拡大する症例に遭遇することがあり注意を要する. 歯性感染症は原因歯とその周囲の解剖学的特徴により, 嚥下困難や気道圧迫を生じたり, 縦隔洞へ炎症が波及しやすい. また, 重症例では敗血症や播種性血管内凝固症候群(DIC)を惹起することもあり, 死亡する場合もある. 最近, われわれは歯性炎症から頸部蜂窩織炎を生じDIC準備状態(preDIC)に至った症例と, 縦隔洞炎へと進行した症例のガス産生重症歯性感染症2症例を経験したので報告する. 「症例」 「症例1」...
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Published in | 神奈川歯学 Vol. 33; no. 3; pp. 137 - 144 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
神奈川歯科大学学会
30.09.1998
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ISSN | 0454-8302 |
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Summary: | 「緒言」 近年, 抗生物質の発達により歯性感染症が重篤な経過をとることは少なくなってきている. しかし, 今なお, 急速かつ広範囲に炎症が拡大する症例に遭遇することがあり注意を要する. 歯性感染症は原因歯とその周囲の解剖学的特徴により, 嚥下困難や気道圧迫を生じたり, 縦隔洞へ炎症が波及しやすい. また, 重症例では敗血症や播種性血管内凝固症候群(DIC)を惹起することもあり, 死亡する場合もある. 最近, われわれは歯性炎症から頸部蜂窩織炎を生じDIC準備状態(preDIC)に至った症例と, 縦隔洞炎へと進行した症例のガス産生重症歯性感染症2症例を経験したので報告する. 「症例」 「症例1」 患者: 39歳の女性. 初診:平成8年5月7日. 主訴:頸部の腫脹と呼吸困難. 家族歴:特記事項なし. 既往歴:在胎8か月(体重1,200g)で仮死状態で出生し, 出生後黄疸で約50日間入院した. 生後3か月で脳性小児麻痺と診断された. |
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ISSN: | 0454-8302 |