拍動型血液ポンプ内血栓のスケッチを基にした好発部位の回顧的検討

「要旨」補助人工心臓(ventricular assist device:VAD)の合併症の一つに脳梗塞がある. 体外式VAD使用時, 注意深い血栓評価を行うためスケッチによる血栓観察を導入した. そのスケッチを基にして当院での体外式VAD血液ポンプ内血栓の好発部位を回顧的に検討した. スケッチを画像処理した上で, 血栓量の指標として輝度値を用いた. 輝度値とは, 選択範囲内のすべてのpixelのgray値を合計し, pixel数で除した平均gray値のことであり, これを面積あたりの血栓量として検討を行った. 3例の臨床症例では, 主に血液ポンプ中央部と下辺縁部に血栓形成を認めた. これは血...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in体外循環技術 Vol. 44; no. 2; pp. 112 - 116
Main Authors 山本圭吾, 後藤武, 大平朋幸, 加藤隆太郎, 冨田瑛一, 紺野幸哉, 小笠原順子, 皆川正仁, 福田幾夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本体外循環技術医学会 01.06.2017
Online AccessGet full text
ISSN0912-2664

Cover

More Information
Summary:「要旨」補助人工心臓(ventricular assist device:VAD)の合併症の一つに脳梗塞がある. 体外式VAD使用時, 注意深い血栓評価を行うためスケッチによる血栓観察を導入した. そのスケッチを基にして当院での体外式VAD血液ポンプ内血栓の好発部位を回顧的に検討した. スケッチを画像処理した上で, 血栓量の指標として輝度値を用いた. 輝度値とは, 選択範囲内のすべてのpixelのgray値を合計し, pixel数で除した平均gray値のことであり, これを面積あたりの血栓量として検討を行った. 3例の臨床症例では, 主に血液ポンプ中央部と下辺縁部に血栓形成を認めた. これは血流内のshear stressに起因した血小板の活性化や血液の滞留により血栓形成したものと考えられた. 血栓量に%SYS設定値やPT-INR値を加えて検討した結果, %SYS設定値, PT-INR値ともに血栓量との間に相関が得られた. 血栓形成の原因として, 補助血液流量が低下したこと, 出血などの合併症によって抗凝固管理が難渋したこと, 心筋炎などの急性期症例における炎症反応が惹起されたことがあげられた.
ISSN:0912-2664