腰部脊柱管狭窄の保存療法
I.疫学 腰痛の分類と頻度の関する報告は少ない. 非特異的腰痛が70~80%と最も多く, 神経根性疼痛は約10%程度である. 腰部脊柱管狭窄は神経根性疼痛に分類され, その頻度は約3%である. 本邦の報告でも約3%である. しかし, 近年の高齢化に伴い, 腰部脊柱管狭窄の頻度は今後さらに増加すると考えられる. II.診断 画像診断から脊柱管狭窄の診断は不可能であり, 画像所見と一致した症状パターンは認めない. 脊柱管狭窄の診断で最も重要なのは自覚症状と他覚所見である. ただし, 安静時の他覚所見は診断上あてにならないので, 歩行不可試験を行い, 歩行不可能時に立位姿勢の状態で他覚所見を調べると...
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Published in | 日本腰痛学会雑誌 Vol. 10; no. 1; pp. 10 - 13 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本腰痛学会
30.10.2004
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ISSN | 1345-9074 |
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Summary: | I.疫学 腰痛の分類と頻度の関する報告は少ない. 非特異的腰痛が70~80%と最も多く, 神経根性疼痛は約10%程度である. 腰部脊柱管狭窄は神経根性疼痛に分類され, その頻度は約3%である. 本邦の報告でも約3%である. しかし, 近年の高齢化に伴い, 腰部脊柱管狭窄の頻度は今後さらに増加すると考えられる. II.診断 画像診断から脊柱管狭窄の診断は不可能であり, 画像所見と一致した症状パターンは認めない. 脊柱管狭窄の診断で最も重要なのは自覚症状と他覚所見である. ただし, 安静時の他覚所見は診断上あてにならないので, 歩行不可試験を行い, 歩行不可能時に立位姿勢の状態で他覚所見を調べると責任高位の推定に有用である. 閉塞性動脈硬化症(ASO)との鑑別には, Ankle Brachial Pressure Index(ABPI)が必要である. ABPI<0.9の場合にはASOを疑う. ただし, 糖尿病と透析患者は除外する. III.病態と治療方針 腰部脊柱管狭窄は,その神経障害型式により馬尾型,神経根型,混合型の3型に分類できる. |
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ISSN: | 1345-9074 |