脳血管障害片麻痺患者に対するBuilt-in Plastic KAFOの経験
脳血管障害片麻痺患者の下肢装具療法の適応のうち, 特に麻痺の程度が重い患者には金属支柱付き長下肢装具(KAFO)が一般に多く処方されているが, これらの患者は体力的にも制約されており, 装具の重量, 膝継手のロック・アンロックが困難なほかに, 歩行の実用性が乏しいことが指摘されている. そこで装具の軽量化のためにプラスチック製AFOにスイスロックの付いたKAFOを考案し, 重症例に積極的に処方してきた. 本装具の利点は, 軽量のほかに, 麻痺の回復により膝のコントロールが可能になった時点で, スイスロックを外してAFOに変更できる点にある. 28名の対象患者(平均年齢63.8±13.5歳)に本...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 28; no. 11; pp. 947 - 948 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
01.11.1991
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 脳血管障害片麻痺患者の下肢装具療法の適応のうち, 特に麻痺の程度が重い患者には金属支柱付き長下肢装具(KAFO)が一般に多く処方されているが, これらの患者は体力的にも制約されており, 装具の重量, 膝継手のロック・アンロックが困難なほかに, 歩行の実用性が乏しいことが指摘されている. そこで装具の軽量化のためにプラスチック製AFOにスイスロックの付いたKAFOを考案し, 重症例に積極的に処方してきた. 本装具の利点は, 軽量のほかに, 麻痺の回復により膝のコントロールが可能になった時点で, スイスロックを外してAFOに変更できる点にある. 28名の対象患者(平均年齢63.8±13.5歳)に本装具を処方(プラスチックAFOの種類は1名を除きShoehorn型)追跡調査した結果, 麻痺の回復につれてKAFOからAFOに変更できた者が10名(35.7%)(屋外自立2, 屋内自立1, 屋内介助7), 一方, KAFO群では屋内自立3, 屋内介助11, 不能4と明らかに劣っていた. 特に歩行不能群は, 痴呆・麻痺の重症度・下肢関節の著明な拘縮などが疎外因子となっていた. <質疑応答> 石川卓志(防衛医大):(1)自分たちはバランス不良の患者に対して, アライメント調節可能なダブルクレンザック足継手, ダイアルロック膝継手を使用しているが, アライメントはどのようにされていますか. (2)長下肢装具の着脱, ロック, ロック解除は, 何%くらい可能でしたか. 石神重信(防衛医大):(1)小生は長下肢装具にプラスチック装具を使ってきた経験があるが, 安定性や歩容の点で問題があり, 金属支柱の方がよかったと思う. 先生の症例ではどうですか. (2)軽量化した装具は, 重度弛緩性麻痺をもった例では, 振り出しにくい点もあるが, どうですか. 加倉井周一:(1)アライメント設定時には膝屈曲角度を考慮しています. 早期群では装具着脱は自分ではできない例がほとんどです. (2)本装具は早期群では主として平行棒内および介助歩行(4点杖)として使用する例が多く, 歩容パターンは決してよくはありません. 本装具が軽量すぎて安定性が悪いとは思いません. むしろ平均1.7 kgの両側金属支柱付きに比べて重量が700~800 gと軽くなるため, エネルギー消費量が少なく, 患者の負担を軽減すると考えております. 佐藤豊(座長):スイスロックをはずすときは, 大腿部分すべてをとりはずしますか, それともロックの後方部分のみはずしますか. |
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ISSN: | 0034-351X |