ヒト歯根膜培養細胞における重金属の影響に関する研究 -特にPbおよびCdについて

「緒言」 重金属は生体に対して様々な影響を及ぼすといわれ, 特に成長期においてその影響は大きいと考えられる. したがって, 乳歯萌出から永久歯列完成に至るまでの長期の口腔の成長変化を育成・管理するためには, 歯および歯周組織と生体に対し有害と考えられる重金属との関連性について解明することは重要である. 現在まで歯の発育に関する研究は多岐にわたって行われており, 特に交換期乳歯を使用した歯質中の微量元素の測定に関する研究などの報告は数多い. しかしこれらの研究は, 過去の発育環境の検討には非常に適している反面, その形成過程での微細な動態を知ることはできない. 石灰化への重金属の影響については動...

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Published in神奈川歯学 Vol. 24; no. 4; pp. 671 - 691
Main Authors 葉山淑人, 檜垣旺夫, 斎藤滋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 神奈川歯科大学学会 30.03.1990
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ISSN0454-8302

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Summary:「緒言」 重金属は生体に対して様々な影響を及ぼすといわれ, 特に成長期においてその影響は大きいと考えられる. したがって, 乳歯萌出から永久歯列完成に至るまでの長期の口腔の成長変化を育成・管理するためには, 歯および歯周組織と生体に対し有害と考えられる重金属との関連性について解明することは重要である. 現在まで歯の発育に関する研究は多岐にわたって行われており, 特に交換期乳歯を使用した歯質中の微量元素の測定に関する研究などの報告は数多い. しかしこれらの研究は, 過去の発育環境の検討には非常に適している反面, その形成過程での微細な動態を知ることはできない. 石灰化への重金属の影響については動物を用いたGinnら, Woltgensらなどの報告があるが, ヒト正常組織あるいは正常細胞による報告はほとんどない. ヒト歯周組織はSomermanらにより高い石灰化能を有していることが報告されている.
ISSN:0454-8302