頭蓋内動脈ステント(動脈硬化症用)適正使用指針 2013年12月

「はじめに」 動脈硬化性頭蓋内動脈狭窄の頻度には人種差が見られ[1-4], 特にわが国を含むアジア系住民においてその頻度は高く, 虚血性脳血管障害の原因として重要である. わが国における頭蓋内動脈狭窄を原因とする虚血性脳血管障害の頻度は明らかではないが, 脳卒中データバンク2009では, アテローム血栓性脳梗塞の約25%に頭蓋内動脈狭窄あるいは閉塞が認められるとされ, その有病率は高いものと推定される[5]. 無症候性頭蓋内動脈狭窄症では, 高血圧症, 糖尿病, 脂質異常症をはじめとする動脈硬化症のリスクを厳重に管理, 是正することが重要であり, 症候性頭蓋内動脈狭窄症では, これらに加え適切...

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Published in脳卒中 Vol. 36; no. 2; pp. 151 - 162
Main Authors 日本脳卒中学会, 日本脳神経外科学会, 日本脳神経血管内治療学会
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳卒中学会 25.03.2014
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ISSN0912-0726

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Summary:「はじめに」 動脈硬化性頭蓋内動脈狭窄の頻度には人種差が見られ[1-4], 特にわが国を含むアジア系住民においてその頻度は高く, 虚血性脳血管障害の原因として重要である. わが国における頭蓋内動脈狭窄を原因とする虚血性脳血管障害の頻度は明らかではないが, 脳卒中データバンク2009では, アテローム血栓性脳梗塞の約25%に頭蓋内動脈狭窄あるいは閉塞が認められるとされ, その有病率は高いものと推定される[5]. 無症候性頭蓋内動脈狭窄症では, 高血圧症, 糖尿病, 脂質異常症をはじめとする動脈硬化症のリスクを厳重に管理, 是正することが重要であり, 症候性頭蓋内動脈狭窄症では, これらに加え適切な抗血小板療法を行うことにより再発リスクを減少させることができる. しかし, これらの治療を行っても完全に再発を抑え得るものではない. 頭蓋内動脈狭窄性病変に対する血管内治療については, 脳卒中治療ガイドライン2009において「頸部内頚動脈以外の頭蓋外および頭蓋内動脈狭窄症に対して, 血管形成術/ステント留置術を行うには, 十分な科学的根拠はない(グレードC1)」と記載されてきたが[6], 臨床的有用性が治療によるリスクを上回ると考えられる一部の症例については, 頭蓋内動脈狭窄拡張を目的として経皮的血管形成術(percutaneous transluminal angioplasty, 以下PTA)が行われてきた.
ISSN:0912-0726