大腿骨近位部転移性骨腫瘍における術式別検討

「はじめに」転移性骨腫瘍, 特に下肢の転移性骨腫瘍に対しては, 積極的に手術を施行し, QOLの改善を目ざすという点で諸家の報告は一致している. またさまざまな手術法も工夫され報告されている. しかしながらそれぞれの術式の適応に関しては, 未解決の点も多く, 特に最近改良進歩した腫瘍用人工関節の適応に関しては, 一定の見解が得られていない. この点に関して検討するために, 今回当科で治療した大腿骨近位部の転移性骨腫瘍症例において, 術式別の成績について比較検討し報告する. 対象と方法 1977年以降手術的治療を行った20例21肢を対象とした. 男性15例, 女性5例, 年齢は44~89歳(平均...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in整形外科と災害外科 Vol. 48; no. 1; pp. 304 - 307
Main Authors 米村憲輔, 西田公明, 薬師寺俊剛, 梅村武寛, 加藤悌二, 高木克公
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.1999
Online AccessGet full text
ISSN0037-1033

Cover

More Information
Summary:「はじめに」転移性骨腫瘍, 特に下肢の転移性骨腫瘍に対しては, 積極的に手術を施行し, QOLの改善を目ざすという点で諸家の報告は一致している. またさまざまな手術法も工夫され報告されている. しかしながらそれぞれの術式の適応に関しては, 未解決の点も多く, 特に最近改良進歩した腫瘍用人工関節の適応に関しては, 一定の見解が得られていない. この点に関して検討するために, 今回当科で治療した大腿骨近位部の転移性骨腫瘍症例において, 術式別の成績について比較検討し報告する. 対象と方法 1977年以降手術的治療を行った20例21肢を対象とした. 男性15例, 女性5例, 年齢は44~89歳(平均66.6歳)であり, 原発巣の内訳は, 肺癌6例, 腎癌4例, 多発性骨髄腫の2例, 前立腺癌2例などである. また19肢(90%)に病的骨折がみられた. これらの症例を手術方法によって2群に分類した. すなわち局所根治性を優先して原発性腫瘍に準じて広範切除を行い, 腫瘍用人工関節にて置換, 再建した群(以下, 広切群)(9肢), 機能性および早期復帰を目指して, 病巣掻爬を行い骨セメント充填を併用して髄内釘固定を施行した群(以下, 掻爬群)(12肢)に分けて検討した.
ISSN:0037-1033