両側膝特発性骨壊死の1例―内側半月板断裂との関係

特発性膝骨壊死の成因に関しては未だ明確に示されていない. 諸家の報告によると膝骨壊死の病因の1つとして内側半月板断裂の重要性が示唆されている. 今回, 我々は両膝関節に内側半月板断裂を認め, その後膝骨壊死所見を呈した1症例を経験したので報告する. 症例 74歳女性. 1992年8月, 右膝痛出現. X線は異常なし. 11月, 関節鏡施行. 内側半月板は中節から後節にかけて横断裂がある. 内顆軟骨に異常所見なし. 半月板部分切除施行. その後も右膝痛軽決せず. 発症後9ケ月の1993年5月, X線で大腿骨内顆荷重面に骨吸収像と回りに骨硬化像が認められ, 内顆荷重部骨片の剥離, 脱落を認める....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in整形外科と災害外科 Vol. 46; no. 4; pp. 1225 - 1226
Main Authors 石谷栄一, 香月一朗, 原口和史, 田山尚久, 藤田秀一, 寺本全男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.1997
Online AccessGet full text
ISSN0037-1033

Cover

More Information
Summary:特発性膝骨壊死の成因に関しては未だ明確に示されていない. 諸家の報告によると膝骨壊死の病因の1つとして内側半月板断裂の重要性が示唆されている. 今回, 我々は両膝関節に内側半月板断裂を認め, その後膝骨壊死所見を呈した1症例を経験したので報告する. 症例 74歳女性. 1992年8月, 右膝痛出現. X線は異常なし. 11月, 関節鏡施行. 内側半月板は中節から後節にかけて横断裂がある. 内顆軟骨に異常所見なし. 半月板部分切除施行. その後も右膝痛軽決せず. 発症後9ケ月の1993年5月, X線で大腿骨内顆荷重面に骨吸収像と回りに骨硬化像が認められ, 内顆荷重部骨片の剥離, 脱落を認める. MRIでは大腿骨内顆部にT1 low, T2 highの信号変化が認められる(図1). 内顆部軟骨下骨の剥離, 脱落があるため右膝内側単顆置換術を施行. 1995年5月より左膝痛, 関節水腫が出現. 発症時X線異常なし. 1ケ月半後, 内顆荷重部に骨硬化像が出現. 4ケ月後, 内顆荷重部の骨吸収像と石灰板がみられる(図2). MRIでは大腿骨内顆部にT1 lowの信号変化を認める. 関節鏡を施行. 大腿骨内顆軟骨が剥離しかけて浮き上がっている. 内側半月板の横断裂を認める(図3). 半月板切除を行い, 内顆部分には骨釘をうちこみ, 高位脛骨骨切り術施行. 2ケ月後に関節鏡施行. 軟骨の剥離, 浮き上がりは消失していた.
ISSN:0037-1033