IA期非小細胞肺癌における腫瘍径と予後の関連

CTによる肺癌検診ではX線写真による肺癌検診に比較して, IA期肺癌の発見される割合が高く, より腫瘍径の小さな肺癌が発見されると言われている. 一方, 腫瘍径3cm以下の肺癌では腫瘍径は病期や予後と関連しないとの報告が認められる. 今回, 当施設においてIA期非小細胞肺癌における腫瘍径と予後の関連を解析した. 【対象, 方法】1987年から2002年までに外科的切除された病理病期IA期の非小細胞肺癌219例を対象とした. 葉切および2群以上の郭清がされている症例を対象とし, 多発肺癌症例は除外した. 腫瘍径と切除予後の関連をCox比例ハザードモデルで解析した. 【結果】年齢中央値(範囲)67...

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Published in気管支学 Vol. 26; no. 3; p. 241
Main Authors 橋爪敏彦, 小川伸郎, 鈴木喜裕, 荒井宏雅, 小林信明, 中田裕介, 山口展弘, 林美保, 小澤聡子, 沼田万里, 宮沢直幹, 綿貫祐司, 小倉高志, 高橋宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本呼吸器内視鏡学会 10.05.2004
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ISSN0287-2137

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Summary:CTによる肺癌検診ではX線写真による肺癌検診に比較して, IA期肺癌の発見される割合が高く, より腫瘍径の小さな肺癌が発見されると言われている. 一方, 腫瘍径3cm以下の肺癌では腫瘍径は病期や予後と関連しないとの報告が認められる. 今回, 当施設においてIA期非小細胞肺癌における腫瘍径と予後の関連を解析した. 【対象, 方法】1987年から2002年までに外科的切除された病理病期IA期の非小細胞肺癌219例を対象とした. 葉切および2群以上の郭清がされている症例を対象とし, 多発肺癌症例は除外した. 腫瘍径と切除予後の関連をCox比例ハザードモデルで解析した. 【結果】年齢中央値(範囲)67(41-84)歳, 男性138例, 女性81例. 組織型;扁平上皮癌49例(22.4%), 腺癌155例(70.8%), 大細胞癌3例(1.4%), 腺扁平上皮癌2例(0.9%), その他10例(4.5%). 腫瘍径10mm以下24例(11.0%), 11-20mm96例(43.8%), 21-30mm99例(45.2%)で, 腫瘍径中央値(範囲)は20(5-30)mmであった. 腫瘍径別の5年生存率は10mm以下95.8%, 11-20mm72.6%, 21-30mm75.0%であった. 腫瘍径の生存に及ぼす相対危険率は1.061(p=0.0148)であった. 【結論】IA期非小細胞肺癌において, 腫瘍径は重要な予後因子の一つであることが示唆された.
ISSN:0287-2137