椎骨動脈破裂により脳死とされうる状態となったが移植ドナーにならなかったNF1 (von Recklinghausen病) の1例

【要旨】症例は34歳の女性でNeurofibromatosis 1(以下, NF1)の既往があり, 呼吸困難を主訴に救急搬入された. 来院後間もなくショック状態となり, 左椎骨動脈破裂の診断で緊急カテーテル塞栓術を施行した. その後, 止血したが脳死とされ得る状態となった. 若年症例であり家族の希望から臓器移植のドナー適応があるか検討を行った. NF1に合併する全身血管の奇形や脆弱性が問題となり, 臓器提供には踏み切れないとの判断に至った. その後, 第21病日に死亡退院となった. NF1はvon Recklinghausen病として知られる先天性疾患であり, 血管奇形・脆弱性から血管破裂・出...

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Published in日本臨床救急医学会雑誌 Vol. 20; no. 6; pp. 733 - 737
Main Authors 田中拓道, 岩下晋輔, 金子唯, 辛島龍一, 入江弘基, 笠岡俊志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床救急医学会 01.12.2017
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ISSN1345-0581

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Summary:【要旨】症例は34歳の女性でNeurofibromatosis 1(以下, NF1)の既往があり, 呼吸困難を主訴に救急搬入された. 来院後間もなくショック状態となり, 左椎骨動脈破裂の診断で緊急カテーテル塞栓術を施行した. その後, 止血したが脳死とされ得る状態となった. 若年症例であり家族の希望から臓器移植のドナー適応があるか検討を行った. NF1に合併する全身血管の奇形や脆弱性が問題となり, 臓器提供には踏み切れないとの判断に至った. その後, 第21病日に死亡退院となった. NF1はvon Recklinghausen病として知られる先天性疾患であり, 血管奇形・脆弱性から血管破裂・出血をきたし, しばしば重篤なショック状態に陥る. NF1に伴う血管奇形は国内でも多く報告される. 本例では出血性ショックおよび血管攣縮で脳幹虚血・梗塞から脳死とされ得る状態になったと考えられた. 臓器移植適応も検討されたが臓器提供には踏み切れなかった.
ISSN:1345-0581