超多剤耐性結核菌の定義と検査

「要旨」: 世界保健機関では日本と異なり多剤耐性結核に対して2020年より全経口薬での治療を勧めている. これにより, 注射剤の耐性を基準としていた超多剤耐性結核菌(Extensively drug-resistant Mycobacterium tuberculosis: XDR-TB)の定義が意味をなさなくなったため, 同機関は2021年にXDR-TBの定義を変更した. 新しいXDR-TBの定義は, isoniazidとrifampicinの両方に耐性を有する多剤耐性結核菌(Multidrug-resistant M.tuberculosis: MDR-TB)に加えてlevofloxaci...

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Published in結核 Vol. 99; no. 4; pp. 105 - 108
Main Author 日本結核非結核性抗酸菌症学会 抗酸菌検査法検討委員会
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本結核・非結核性抗酸菌症学会 15.05.2024
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ISSN0022-9776

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Summary:「要旨」: 世界保健機関では日本と異なり多剤耐性結核に対して2020年より全経口薬での治療を勧めている. これにより, 注射剤の耐性を基準としていた超多剤耐性結核菌(Extensively drug-resistant Mycobacterium tuberculosis: XDR-TB)の定義が意味をなさなくなったため, 同機関は2021年にXDR-TBの定義を変更した. 新しいXDR-TBの定義は, isoniazidとrifampicinの両方に耐性を有する多剤耐性結核菌(Multidrug-resistant M.tuberculosis: MDR-TB)に加えてlevofloxacinあるいはmoxifloxacin(MFLX)に耐性があり, かつbedaquiline(BDQ)あるいはlinezolid(LZD)に耐性を有するというものである. 本定義は日本国内でも三種病原体等に相当する多剤耐性結核の定義として2023年より採用されており, 定義変更に伴う届出の変更等が必要となっている. 新しいXDR-TBの同定にはMFLX, BDQおよびLZDの感受性検査が必要であるが, 検査キットが存在しないため, 対応策として公益財団法人結核予防会結核研究所抗酸菌部細菌科がこれらの薬剤の感受性検査を無償で受託している. 各検査機関は新たなXDR-TBに感染症法上対応する必要がある.
ISSN:0022-9776