認知行動療法と薬剤調整を連携させることにより回復に至った特定の恐怖症 (HIV感染恐怖) を伴う遷延したうつ病の一例

「要約」曝露反応妨害法(ERP)や認知療法と薬剤調整の連携により回復し, 復職に至ったHIV感染恐怖を伴う遷延したうつ病患者を経験したので報告する. HIV感染恐怖もうつ病の維持要因であったため, 薬剤調整を行い, 体が楽になったタイミングでHIV感染恐怖に対しERPを導入した. このため, ERPをすればHIV感染恐怖がよくなるというルールは, 患者にとって確率の高い結果を記述したルールとなり, 従いやすくなったと推察される. 効果を教示されたのちにERPをすることはルール支配行動だが, できたときに, 生活が楽になるまたはうれしいと直ちに感じられるホームワークを設定することにより, ERP...

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Published in行動療法研究 Vol. 43; no. 3; pp. 191 - 202
Main Author 宮崎哲治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本認知・行動療法学会 30.09.2017
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ISSN0910-6529

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Summary:「要約」曝露反応妨害法(ERP)や認知療法と薬剤調整の連携により回復し, 復職に至ったHIV感染恐怖を伴う遷延したうつ病患者を経験したので報告する. HIV感染恐怖もうつ病の維持要因であったため, 薬剤調整を行い, 体が楽になったタイミングでHIV感染恐怖に対しERPを導入した. このため, ERPをすればHIV感染恐怖がよくなるというルールは, 患者にとって確率の高い結果を記述したルールとなり, 従いやすくなったと推察される. 効果を教示されたのちにERPをすることはルール支配行動だが, できたときに, 生活が楽になるまたはうれしいと直ちに感じられるホームワークを設定することにより, ERPをすることが行動内在的強化随伴性を有することが期待できるようにもした. このような工夫により, 本来苦痛を伴う治療法であるERPを容易に導入することができたためHIV感染恐怖が回復し, 同疾患の影響を受けていたうつ病も回復したと推測する.
ISSN:0910-6529