オーダリングシステムを利用したバンコマイシン一次チェックシステムの構築と運用

<緒言>塩酸バンコマイシン(以下VCM)は腎機能障害患者・透析患者等の腎不全患者や高齢者等では投与量, 投与間隔の調節が必要であり, TDMにより有効性・安全性をチェックすることが望まれている. 当院の入院患者の注射個人セット時に投与患者に関する情報をふまえてチェックするには, その都度オーダリングシステム等で必要事項の確認を行なわなければならず, 注射セット・服薬指導を行なっていない病棟も一部あり, 全患者を対象としたチェックをすることが人的・時間的にも困難であった. そこで, 全患者を対象としたチェックと患者情報・処方情報等をもとにチェック内容の標準化を目指しVCM一次チェック...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 54; no. 3; p. 503
Main Authors 前田健晴, 佐々英也, 冨田敦和, 前田直希, 羽田清, 沖健次, 本多鋭孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本農村医学会 01.09.2005
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ISSN0468-2513

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Summary:<緒言>塩酸バンコマイシン(以下VCM)は腎機能障害患者・透析患者等の腎不全患者や高齢者等では投与量, 投与間隔の調節が必要であり, TDMにより有効性・安全性をチェックすることが望まれている. 当院の入院患者の注射個人セット時に投与患者に関する情報をふまえてチェックするには, その都度オーダリングシステム等で必要事項の確認を行なわなければならず, 注射セット・服薬指導を行なっていない病棟も一部あり, 全患者を対象としたチェックをすることが人的・時間的にも困難であった. そこで, 全患者を対象としたチェックと患者情報・処方情報等をもとにチェック内容の標準化を目指しVCM一次チェックシステム(以下チェックシステム)を構築し, 運用を開始したのでここに報告する. <システム>チェックシステムは, Microsoft社のAccessを用いて作成した. 当院では, オーダリングシステム(NEC Mega-Oak)を導入しており, 医師が入力した注射オーダはすべて薬剤科部門システム(小西医療器)に送られる. 薬剤科部門システムから当日施行分のVCM投与患者と透析情報を抽出, オーダリングシステムから患者基本情報と検査データを抽出する. これらの情報を基に得たクレアチニンクリアランス値から, VCM添付文書上にある10投与量の設定のためのMoelleringらのノモグラムを利用し目安投与量を計算するようにした. 患者情報(氏名, 体重, 性別, 年齢, 血清クレアチニン値, クレアチニンクリアランス, 透析情報), 処方情報(投与量, 投与間隔, 処方コメント, 病棟・科名, 処方医師名), 算出した目安投与量, 過去の処方履歴を表示させ, チェックシートとして出力するようにした. <運用>当院では, 午前午後の2回注射セットを行なっている. チェックシートは, 午後の注射セット後に発行し, 患者情報・処方情報・算出した目安投与量等をもとにして一次チェックを行なうようにした. また, チェックの結果に応じて, 塩野義製薬株式会社の解析ソフト(SHIONOGI-VCM S_edition Ver1.00 for Willdows)を用いてシミュレーションを行なうようにした. <考察>チェックシステムを使用することにより, 注射個人セット・服薬指導の有無によらず全患者を対象にした標準化した一次チェックをすることが可能となった. 今後は, 抽出からシミュレーションまでチェックシステム上で行なえるようにし, より簡便で質の高いシステムにしていきたい. また, 病棟業務との連携, 併用薬の影響など検討を加えていくことで, より信頼性の高い情報提供を行なえるようにし, 薬剤の有効性・安全性の向上に努めていきたい.
ISSN:0468-2513