縦隔胚細胞腫瘍の1例

「抄録:」症例は33歳, 男性. X年7月に健診で右肺門部腫瘤影を指摘され, 前医を受診した. CTで右前縦隔に68mm大の腫瘤を認め, AFP 9164.7ng/mLと異常高値であった. CTガイド下生検で卵黄嚢腫瘍と診断され, 集学的治療のため当科紹介となった. CTでは縦隔以外に病変を認めず, 縦隔原発卵黄嚢腫瘍, IGCCCではPoor prognosisの診断でBEP療法を開始した. 4コース施行後, 腫瘍は軽度の縮小を認めた. AFP, AFP-L3は低下傾向であったが, 正常化しなかった. 腫瘍は切除可能な大きさであり, 腫瘍マーカーの正常化を待たずに手術を行う方針とし, X+1...

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Published in西日本泌尿器科 Vol. 86; no. 6; pp. 325 - 328
Main Authors 牧野耕, 穴見俊樹, 脊川卓也, 倉橋竜磨, 元島崇信, 村上洋嗣, 矢津田旬二, 神波大己
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本泌尿器科学会 01.08.2024
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ISSN0029-0726

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Summary:「抄録:」症例は33歳, 男性. X年7月に健診で右肺門部腫瘤影を指摘され, 前医を受診した. CTで右前縦隔に68mm大の腫瘤を認め, AFP 9164.7ng/mLと異常高値であった. CTガイド下生検で卵黄嚢腫瘍と診断され, 集学的治療のため当科紹介となった. CTでは縦隔以外に病変を認めず, 縦隔原発卵黄嚢腫瘍, IGCCCではPoor prognosisの診断でBEP療法を開始した. 4コース施行後, 腫瘍は軽度の縮小を認めた. AFP, AFP-L3は低下傾向であったが, 正常化しなかった. 腫瘍は切除可能な大きさであり, 腫瘍マーカーの正常化を待たずに手術を行う方針とし, X+1年1月に胸腔鏡下前縦隔腫瘍摘除, 右上葉部分切除, 心膜部分切除を行った. 腫瘍は広範に壊死しており, viableな腫瘍は認めなかった. 術後3週のAFP, AFP-L3はともに正常化しており, 定期的な腫瘍マーカーおよびCTフォローの方針とした. 術後1年3カ月のX+2年4月時点で再発, 転移はなく, 腫瘍マーカーも正常範囲内で推移している. 性腺外胚細胞腫瘍は全胚細胞腫瘍の2~5%を占め, そのうち50~70%が縦隔原発である. 治療は化学療法が第一選択であり, 化学療法終了後に残存腫瘍切除を行う場合もある. 今回, 化学療法終了後に腫瘍マーカーは正常化しなかったものの, desperation surgeryを行い再発なく経過している1例を経験したため報告する.
ISSN:0029-0726