TKA術後の理学療法に対する一考察~既往歴が歩行時に及ぼす影響

【はじめに】本症例の術前評価において病態変化の要因が膝関節の機能低下のみならず, 腰椎椎弓固定による腰椎-骨盤帯の運動性にも関連していると推察した. 術後の理学療法を膝関節機能改善に加え, 既往歴に着目し腰椎-骨盤の運動性改善に対するアプローチをした結果, 歩行時の荷重対応が改善した症例を経験したので報告する. 【症例紹介】70歳代女性, 診断名は右変形性膝関節症(K/L分類gradeIV, FTA 185°). 1988年腰椎辷り症固定術施行. 2010年10月右TKA施行. 【術前理学評価】可動域は右膝関節屈曲110°, 伸展-15°, 右股関節内転5°, 外転15°. 歩行時右立脚期の荷...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 60; no. 4; pp. 804 - 805
Main Authors 深井健司, 羽田清貴, 岩尾潤一郎, 徳田一貫, 奥村晃司, 杉木知武, 川嶌眞人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2011
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ISSN0037-1033

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Summary:【はじめに】本症例の術前評価において病態変化の要因が膝関節の機能低下のみならず, 腰椎椎弓固定による腰椎-骨盤帯の運動性にも関連していると推察した. 術後の理学療法を膝関節機能改善に加え, 既往歴に着目し腰椎-骨盤の運動性改善に対するアプローチをした結果, 歩行時の荷重対応が改善した症例を経験したので報告する. 【症例紹介】70歳代女性, 診断名は右変形性膝関節症(K/L分類gradeIV, FTA 185°). 1988年腰椎辷り症固定術施行. 2010年10月右TKA施行. 【術前理学評価】可動域は右膝関節屈曲110°, 伸展-15°, 右股関節内転5°, 外転15°. 歩行時右立脚期の荷重対応は, 右股関節内転低下, 右骨盤側方移動が不十分であり, 大腿に対して下腿外旋・外側傾斜にて行っていた. 【アプローチ】歩行時の右立脚期での股関節内転運動, 骨盤側方移動・身体重心移動を実施した. 【結果及び考察】既往歴にある腰椎椎弓固定を施行した事により体幹-骨盤帯を一塊にしたCounter Weightによる制御により膝関節のストレスが増大していたと推察した. アプローチの結果, 股関節内転による骨盤側方移動が可能となったことで術後の歩容が改善したと考える.
ISSN:0037-1033