慢性中耳炎症例における上咽頭酸逆流―3チャンネル24時間pHモニタリングによる検討

「はじめに」近年, 胃食道逆流症が咽・喉頭に, 慢性炎症や肉芽腫を形成しうることが明らかにされている. また, 胃酸の逆流はさらに上方の鼻副鼻腔や耳管に影響を与える可能性も示唆されており1),2), 慢性中耳炎や滲出性中耳炎には胃食道逆流症により遷延化する例のあることも報告されている3). しかし, 実際に上咽頭への胃食道逆流を調べた報告は少なく1),4), 耳管機能との関連について検討した報告はみられない. そこで, 本研究では慢性中耳炎, 真珠腫性中耳炎15例を対象として胃食道逆流症のアンケート, 3チャンネル24時間pH測定(下部食道, 下咽頭, 上咽頭), 耳管機能検査を行い, 上咽頭...

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Published inOtology Japan Vol. 18; no. 2; pp. 113 - 119
Main Author 福田宏治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本耳科学会 25.05.2008
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ISSN0917-2025

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Summary:「はじめに」近年, 胃食道逆流症が咽・喉頭に, 慢性炎症や肉芽腫を形成しうることが明らかにされている. また, 胃酸の逆流はさらに上方の鼻副鼻腔や耳管に影響を与える可能性も示唆されており1),2), 慢性中耳炎や滲出性中耳炎には胃食道逆流症により遷延化する例のあることも報告されている3). しかし, 実際に上咽頭への胃食道逆流を調べた報告は少なく1),4), 耳管機能との関連について検討した報告はみられない. そこで, 本研究では慢性中耳炎, 真珠腫性中耳炎15例を対象として胃食道逆流症のアンケート, 3チャンネル24時間pH測定(下部食道, 下咽頭, 上咽頭), 耳管機能検査を行い, 上咽頭の酸暴露の有無と耳管機能障害との関連について, 耳疾患のない対照群12例と比較検討したので報告する. 「対象と方法」平成16年6月より平成18年5月までに岩手医科大学耳鼻咽喉科で入院手術加療を受けた慢性中耳炎, 真珠腫性中耳炎例のうち, 3チャンネル24時間pHモニタリングを施行しえた15例(慢性中耳炎7例, 真珠腫性中耳炎8例)を対象とした.
ISSN:0917-2025