がん患者の疼痛に対する温罨法の有用性 : スコーピングレビュー

「要旨」【目的】がん患者の疼痛に対する温罨法の有用性に対する示唆を得る. 【方法】電子データベースである医中誌WebとPubMedを用いて, 1986年~2021年6月14日の期間に発表された論文に限定して, 検索を行った. 医中誌Webのキーワードは, 「がん」「腫瘍」「疼痛」「温罨法 or ホットパック」, PubMedのキーワードは「cancer」「pain OR neuropathy OR analgesia OR allodynia OR hyperalgesia」「hot pack OR hot compress」である. なお, 本研究で使用するキーワードは, シソーラスから上位...

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Published in兵庫県立大学看護学部・地域ケア開発研究所紀要 Vol. 29; pp. 37 - 46
Main Authors 橋本萌々子, 増田由菜, 下屋真祐, 清原花, 浅田裕美, 角甲純, 川崎優子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 兵庫県立大学看護学部・地域ケア開発研究所 01.03.2022
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ISSN1881-6592

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Summary:「要旨」【目的】がん患者の疼痛に対する温罨法の有用性に対する示唆を得る. 【方法】電子データベースである医中誌WebとPubMedを用いて, 1986年~2021年6月14日の期間に発表された論文に限定して, 検索を行った. 医中誌Webのキーワードは, 「がん」「腫瘍」「疼痛」「温罨法 or ホットパック」, PubMedのキーワードは「cancer」「pain OR neuropathy OR analgesia OR allodynia OR hyperalgesia」「hot pack OR hot compress」である. なお, 本研究で使用するキーワードは, シソーラスから上位統制語を確認して選択しているが, 温罨法やホットパックなど, 一部に登録されていない用語も含まれている. 【結果】51件の文献が抽出され, 最終的に, 本研究では11件の文献を採用し, 分析の対象とした. 【結論】採用文献から, (1) 終末期のがん患者の疼痛に対する温罨法の効果についての先行研究がないこと, (2) 治療期のがん患者の化学療法による血管痛や静脈炎の疼痛については, 点滴刺入部位に対するホットパックなどの温罨法が疼痛緩和方法として用いられていることの2点が明らかになった. 終末期のがん患者の疼痛に対する温罨法の有用性については, 研究が少ないため, 明確に示されているとは言えない. しかし, 疼痛緩和のための看護ケアの一つとして実施されていることから, 今後は対象者やがん種などを増やして研究を進めていく必要があると考えられる. また, 治療期のがん患者の疼痛に対する温罨法の効果については, 有意差がみられた研究が複数あり, 有意差がみられなかった研究においても疼痛緩和に繋がったという結果が得られている. そのため, 温罨法は治療期のがん患者の疼痛を緩和することが期待できる方法である.
ISSN:1881-6592