乳歯歯質の微量金属に関する研究 -出生前および出生後形成歯質における微量金属含有量について
「緒言」 近年, フロンガスによるオゾン層の破壊や大気中CO2の増加による温暖化現象など環境問題がにわかにクローズアップされてきている. 同時に産業の工業化に伴い, 環境中に存在する微量金属の生態系に与える影響も注目を集めている. 微量金属の生体における生理学的機能および毒性については多くの研究が報告されており, Zn, Cuのような必須微量金属に関しては, 生体内酵素活性との関わり合いや栄養学的な見地から過不足に伴う生体機能・成長発育の変化についての研究が, 一方ではCd, Pbのような非必須と考えられる重金属についても, 水俣病やイタイイタイ病に代表されるような人為的環境汚染の問題から,...
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Published in | 神奈川歯学 Vol. 24; no. 4; pp. 653 - 670 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
神奈川歯科大学学会
30.03.1990
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ISSN | 0454-8302 |
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Summary: | 「緒言」 近年, フロンガスによるオゾン層の破壊や大気中CO2の増加による温暖化現象など環境問題がにわかにクローズアップされてきている. 同時に産業の工業化に伴い, 環境中に存在する微量金属の生態系に与える影響も注目を集めている. 微量金属の生体における生理学的機能および毒性については多くの研究が報告されており, Zn, Cuのような必須微量金属に関しては, 生体内酵素活性との関わり合いや栄養学的な見地から過不足に伴う生体機能・成長発育の変化についての研究が, 一方ではCd, Pbのような非必須と考えられる重金属についても, 水俣病やイタイイタイ病に代表されるような人為的環境汚染の問題から, 主として過剰症状についての研究が進められている. 歯科領域においても環境汚染との問題, 齲蝕との関連, 歯質形成・石灰化過程との関連など多岐にわたる分野で従来より多くの報告がみられる. 乳歯の形成は胎生期から小児期に至る長期間にわたり行われ, さらに一度形成された歯はほとんど生理的交代(turn over)に乏しいために, 歯質形成途上で生じる局所的ならびに全身的影響を歯質内部に刻印づけたまま存在するという特性を有する. |
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ISSN: | 0454-8302 |