Polymerase Chain Reaction(PCR法)を用いたChlamydia trachomatisの検討

目的:現在, 我国及び欧米の性行為感染症(STD)中で, クラミジア感染症は最も頻度が高く, 女性の生殖維持機能を阻害し, 不妊, 子宮外妊娠等の起因となり, また母子垂直感染により胎児に重大な疾患を起こす. このため, 特異性の高い検査法が望まれてきた. 今回, COBAS AMPRICOR STD-1 Chlamydia rachomatisの検討の機会を得たので報告する. 方法:平成14年10月22日~31日(9日間)までに当中央検査室に試行提出されたクラミジアトラコマチスDNA(PCR法)39例を対象として外注検査報告との一致率および院内導入した平成15年1月から6月までの期間の経過報...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 70; no. 6; p. 588
Main Authors 因泥弘之, 小伊藤保雄, 吉田美和, 新宅孝征, 松岡和彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 15.12.2003
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ISSN1345-4676

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Summary:目的:現在, 我国及び欧米の性行為感染症(STD)中で, クラミジア感染症は最も頻度が高く, 女性の生殖維持機能を阻害し, 不妊, 子宮外妊娠等の起因となり, また母子垂直感染により胎児に重大な疾患を起こす. このため, 特異性の高い検査法が望まれてきた. 今回, COBAS AMPRICOR STD-1 Chlamydia rachomatisの検討の機会を得たので報告する. 方法:平成14年10月22日~31日(9日間)までに当中央検査室に試行提出されたクラミジアトラコマチスDNA(PCR法)39例を対象として外注検査報告との一致率および院内導入した平成15年1月から6月までの期間の経過報告をする. 結果:1. 一致率…実施数39例(女性診療科=33例, 泌尿器科=6例)100%2. 平成15年1月~6月統計報告(1)女性診療科スワブ総数478例, 陽性数5例(陽性率1. 0%)(2)泌尿器科 尿総数50例, 陽性数14例(28. 0%)(3)阻害因子の存在 14例 14/528(2. 7%)考察:導入検討時の一致率は100%と良好で, 平成15年1月より院内導入となり6ヵ月の統計報告は前述であるが, 妊産婦の陽性率は1. 0%, 陽性平均年齢は26. 6歳で妊産婦の陽性率としては高いと思われる. 又, 粘液, 血液等混入による阻害因子が2. 7%であり, 採取時の粘液除去等の注意が必要とされる. 耐熱性ポリメラーゼを増幅原理とするPCR法は分析エリア区分によりコンタミネーションの回避が容易で, また, 内部コントロールの測定により偽陰性反応の判定が可能となり, より一層高い精度の検査情報が提供できると考える.
ISSN:1345-4676