食道扁平上皮癌手術症例における術前Prognostic nutritional index (PNI) の臨床的意義
【目的, 方法】Prognostic nutritional index(以下PNI)は, 血液検査から栄養状態と免疫能を評価できる免疫栄養学的指標である. 2010年1月から2018年4月にかけて, 食道扁平上皮癌に対し食道亜全摘を施行した65例を対象とし, 術前のPNIと, 予後について検討を行った. 【結果】術前PNIの中央値46.3をcut off値とし, 低PNI群(32例), 高PNI群(33例)に群別した. 合併症, 縫合不全, 肺炎の有無と, PNI間には, 関連は認めなかった. 一方, 長期予後では, 低PNI群において, 全生存期間は有意に不良(p<0.01)であった...
Saved in:
Published in | 外科と代謝・栄養 Vol. 52; no. 6; pp. 325 - 332 |
---|---|
Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本外科代謝栄養学会
15.12.2018
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0389-5564 |
Cover
Summary: | 【目的, 方法】Prognostic nutritional index(以下PNI)は, 血液検査から栄養状態と免疫能を評価できる免疫栄養学的指標である. 2010年1月から2018年4月にかけて, 食道扁平上皮癌に対し食道亜全摘を施行した65例を対象とし, 術前のPNIと, 予後について検討を行った. 【結果】術前PNIの中央値46.3をcut off値とし, 低PNI群(32例), 高PNI群(33例)に群別した. 合併症, 縫合不全, 肺炎の有無と, PNI間には, 関連は認めなかった. 一方, 長期予後では, 低PNI群において, 全生存期間は有意に不良(p<0.01)であった. 多変量解析では, 全生存期間において, リンパ節転移とともに低PNI(HR 2.58, 95% 信頼区間1.108-5.995, p=0.028)が, 独立した予後不良因子であった. 【結語】術前PNIは, 全生存期間において独立した予後因子であり, 全生存期間に寄与する可能性が示唆された. 栄養状態のみならず, 全身性炎症反応のスコアリングを可能にするPNIは, 血液生化学検査から簡便に算出でき, 予後マーカーになりうる可能性が示唆された. |
---|---|
ISSN: | 0389-5564 |