自然退縮した特発性陰茎海綿体膿瘍の1例
抄録:症例は68歳, 男性. 以前から会陰部の硬結を自覚していた. 排尿困難と陰部腫瘤を主訴に近医を受診. 撮影されたMRIで海綿体に浸潤する腫瘤を認めたため, 当科に紹介となった. 視診上は明らかな異常所見は認めなかったが, 触診で陰嚢縫線上に圧痛を伴う硬結を認めた. 鼠径部のリンパ節腫大は認めなかった. 造影MRIにて陰茎海綿体に浸潤する腫瘤を認め, T2強調画像で高信号, 造影にて増強効果を呈した. 右精嚢腺にもリング状に造影される結節を認めた. 悪性の可能性を否定できず生検を行った結果, 膿瘍と診断されたが起因菌の検出には至らなかった. ST合剤による加療を開始したが, 肝逸脱酵素の上...
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Published in | 西日本泌尿器科 Vol. 84; no. 6; pp. 656 - 659 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本泌尿器科学会
01.08.2022
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ISSN | 0029-0726 |
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Summary: | 抄録:症例は68歳, 男性. 以前から会陰部の硬結を自覚していた. 排尿困難と陰部腫瘤を主訴に近医を受診. 撮影されたMRIで海綿体に浸潤する腫瘤を認めたため, 当科に紹介となった. 視診上は明らかな異常所見は認めなかったが, 触診で陰嚢縫線上に圧痛を伴う硬結を認めた. 鼠径部のリンパ節腫大は認めなかった. 造影MRIにて陰茎海綿体に浸潤する腫瘤を認め, T2強調画像で高信号, 造影にて増強効果を呈した. 右精嚢腺にもリング状に造影される結節を認めた. 悪性の可能性を否定できず生検を行った結果, 膿瘍と診断されたが起因菌の検出には至らなかった. ST合剤による加療を開始したが, 肝逸脱酵素の上昇を認めたため中止し経過観察を行った. その後の画像評価で腫瘤は自然退縮し, 現在も再発なく経過している. |
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ISSN: | 0029-0726 |