(II-P1-15)内視鏡による食塊形成機能の検討~健常有歯顎者を対象として
【緒言】誤嚥は咽頭期で生じるものの, その原因は咽頭期よりも準備・口腔期に多く存在することが報告されている. このことは, 摂食・嚥下障害患者では, 準備・口腔期での食塊形成能の良否が, 誤嚥のリスクを左右することを示している. これまでに, 咀嚼後の食塊の評価法についてさまざまな報告があるが, いずれも咀嚼した食物を口腔外に取り出して評価する方法であった. 摂食・嚥下運動は連続的なものであることから, 口腔外に取り出した状態での食物は嚥下直前の食塊とは言い難い. そこで今回, 自由嚥下時の口腔期の食塊を観察する手法として内視鏡を用い, 健常者での食塊の状態を検討した. 【方法】被験者は正常咬...
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          | Published in | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 10; no. 3; p. 445 | 
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| Main Authors | , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            日本摂食・嚥下リハビリテーション学会
    
        31.12.2006
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| ISSN | 1343-8441 | 
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| Summary: | 【緒言】誤嚥は咽頭期で生じるものの, その原因は咽頭期よりも準備・口腔期に多く存在することが報告されている. このことは, 摂食・嚥下障害患者では, 準備・口腔期での食塊形成能の良否が, 誤嚥のリスクを左右することを示している. これまでに, 咀嚼後の食塊の評価法についてさまざまな報告があるが, いずれも咀嚼した食物を口腔外に取り出して評価する方法であった. 摂食・嚥下運動は連続的なものであることから, 口腔外に取り出した状態での食物は嚥下直前の食塊とは言い難い. そこで今回, 自由嚥下時の口腔期の食塊を観察する手法として内視鏡を用い, 健常者での食塊の状態を検討した. 【方法】被験者は正常咬合を有する健常成人とした. 食塊の状態を観察するために, 着色した被験食(白色と緑色の米飯, 黄色と緑色のクッキー)を準備した. 被験作業として, 2色の被験食を同時に口腔内に入れ, 普段どおり食べるように指示した. このときの咽頭の食塊を内視鏡にて観察した. 【結果】口腔期の食塊の状態には, 粉砕度, 集合度, 混和度の観点から以下のようなタイプが認められた. すなわち, 粉砕度は「全体が粉砕されている, 大部分が粉砕されているが一部粉砕されていない, 大部分が粉砕されていない」の3タイプ, 集合度は「一塊として集合している, 集合しているが一部がばらついている, 複数の塊に分かれている」の3タイプ, 混和度は「よく混ざり合っている」の1タイプが認められた. 【結論】正常咬合を有する健常者に普段どおり食べるように指示した場合の嚥下口腔期の食塊の状態は, 視覚による定性的な判定であるものの, 粉砕度, 集合度, 混和度の点からいくつかのタイプに分類された. 今後, 無歯顎者, 嚥下障害患者などを対象に同様の検討を重ね, 診断に役立てたいと考えている. | 
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| ISSN: | 1343-8441 |