好酸球性多発血管炎性肉芽腫症に合併した好酸球性心筋炎の1例

《Abstract》症例は70歳代女性. 50歳より気管支喘息があり, 3カ月前より喘息の増悪, 食思不振, 体重減少を認め, 血液検査にて著明な好酸球増多が確認されたため, 精査目的に当院紹介受診となった. CTで好酸球性肺炎を疑う陰影と気管支生検にて好酸球浸潤を伴う肉芽腫が確認でき, 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis; EGPA)と診断した. 入院時の血液検査でトロポニンIとBNPの上昇を認め, 心電図では前胸部誘導での陰性T波を認めた. 心臓超音波検査では, 左室前壁から心尖部にかけて壁運動低下を認め...

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Published in心臓 Vol. 56; no. 12; pp. 1116 - 1123
Main Authors 牧野佐和, 相木孝允, 堀麗菜, 清水嵩弘, 竹内一喬, 丹羽智, 大倉清孝, 三澤克史, 前野孝治, 潮木保幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団・日本循環器学会 15.12.2024
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ISSN0586-4488

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Summary:《Abstract》症例は70歳代女性. 50歳より気管支喘息があり, 3カ月前より喘息の増悪, 食思不振, 体重減少を認め, 血液検査にて著明な好酸球増多が確認されたため, 精査目的に当院紹介受診となった. CTで好酸球性肺炎を疑う陰影と気管支生検にて好酸球浸潤を伴う肉芽腫が確認でき, 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis; EGPA)と診断した. 入院時の血液検査でトロポニンIとBNPの上昇を認め, 心電図では前胸部誘導での陰性T波を認めた. 心臓超音波検査では, 左室前壁から心尖部にかけて壁運動低下を認め, EFは37%と低下していた. 冠動脈造影検査では器質的冠動脈狭窄はなく, 心筋生検にて間質への好酸球浸潤を認める所見が得られたため, EGPAに合併した好酸球性心筋炎であると診断した. ステロイドパルス療法とシクロフォスファミドによる寛解導入療法を開始し, 好酸球減少と壁運動改善を認め, プレドニゾロンとメポリズマブを併用した維持療法を行い経過良好である. EGPAと診断した症例に対し, 心臓スクリーニング検査を行い, 心臓合併症を早期に診断・治療を開始することが重要である.
ISSN:0586-4488