若年女性に発症した結核性ぶどう膜炎の1例

要旨: 症例は25歳女性. 右眼の見えにくさを主訴に当院眼科を受診し, 蛍光眼底検査で結核性ぶどう膜炎を疑われた. インターフェロンガンマ遊離試験(Interferon-gamma release assay: IGRA)が陽性であり, 胸部単純X線検査で右上肺野に粒状影を認め, 体幹部CTで右肺上葉S2に小葉中心性の粒状影と浸潤影を, 左肺上葉にもわずかに粒状影を認めた. 喀痰抗酸菌検査は陰性であり, 経気管支生検でラングハンス型多核巨細胞を伴う壊死性肉芽腫を認めた. 画像所見, IGRA陽性およびその他の検査結果とあわせて, 肺結核および結核性ぶどう膜炎と診断した. 抗結核薬の標準治療(イ...

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Published in結核 Vol. 97; no. 5; pp. 273 - 277
Main Authors 里村緑, 美園俊祐, 米未紀子, 冨岡勇也, 大脇一人, 松山崇弘, 高木弘一, 三山英夫, 末次隆行, 井上博雅
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本結核・非結核性抗酸菌症学会 25.07.2022
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ISSN0022-9776

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Summary:要旨: 症例は25歳女性. 右眼の見えにくさを主訴に当院眼科を受診し, 蛍光眼底検査で結核性ぶどう膜炎を疑われた. インターフェロンガンマ遊離試験(Interferon-gamma release assay: IGRA)が陽性であり, 胸部単純X線検査で右上肺野に粒状影を認め, 体幹部CTで右肺上葉S2に小葉中心性の粒状影と浸潤影を, 左肺上葉にもわずかに粒状影を認めた. 喀痰抗酸菌検査は陰性であり, 経気管支生検でラングハンス型多核巨細胞を伴う壊死性肉芽腫を認めた. 画像所見, IGRA陽性およびその他の検査結果とあわせて, 肺結核および結核性ぶどう膜炎と診断した. 抗結核薬の標準治療(イソニアジド, リファンピシン, エタンブトール, ピラジナミド)を開始し, 治療2カ月後のCTで両側肺野の粒状影, 浸潤影は消退傾向であった. 右眼の症状については, 経過中に硝子体出血を合併したため, 硝子体手術を施行し, 症状は回復した. 結核性ぶどう膜炎は診断の遅れが失明につながる可能性がある. そのため, 眼科と密な連携をとり, 早期診断, 早期治療介入を行う必要がある.
ISSN:0022-9776