広汎性発達障害を伴う強迫性障害患者のウェクスラー式知能検査所見

「抄録」近年, 精神科臨床において, 治療に難渋する例に広汎性発達障害(PDD)の併存が気づかれることが注目されている. 治療抵抗性の強迫性障害(OCD)患者ではPDDを併存していることが多いことが報告されている. OCD患者の治療の初期にPDDの併存に気づくことができると, より効果的な治療に導くことができると考えられる. しかし, 特に成人のPDDを伴うOCD患者の特徴についての研究はわずかしかない. 本研究ではOCD患者64名(18歳~61歳, 男性25名, 女性39名)をPDD群と非PDD群に分け, 成人用ウェクスラー式知能検査第3版(WAIS-III)の所見を調べた. 64名中19名...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in川崎医学会誌 Vol. 38; no. 3; pp. 133 - 141
Main Author 村上伸治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 川崎医学会 01.10.2012
Online AccessGet full text
ISSN0386-5924

Cover

More Information
Summary:「抄録」近年, 精神科臨床において, 治療に難渋する例に広汎性発達障害(PDD)の併存が気づかれることが注目されている. 治療抵抗性の強迫性障害(OCD)患者ではPDDを併存していることが多いことが報告されている. OCD患者の治療の初期にPDDの併存に気づくことができると, より効果的な治療に導くことができると考えられる. しかし, 特に成人のPDDを伴うOCD患者の特徴についての研究はわずかしかない. 本研究ではOCD患者64名(18歳~61歳, 男性25名, 女性39名)をPDD群と非PDD群に分け, 成人用ウェクスラー式知能検査第3版(WAIS-III)の所見を調べた. 64名中19名(男性10名, 女性9名)をPDDと診断した. 19名の内訳は, 自閉性障害が2名, アスペルガー障害が10名, 特定不能のPDDが7名であった. 本研究以前にPDDだと既に診断されていた者はなかった.
ISSN:0386-5924